コラム
COLUMN

コロナ5類移行後、コロナ病床確保や感染対策設備整備、高齢者施設への医療従事者派遣などの補助

「令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施に当たっての取扱いについて」
コロナ感染症が5類感染症に移行後の補助内容を整理、「当面、9月末まで継続」

厚生労働省は5月8日に事務連絡「令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施に当たっての取扱いについて」などを示し、コロナ感染症が5類感染症に移行した後には、補助内容を整理(一部を継続、一部を終了、一部を拡充)したうえで「当面、9月末まで継続する」考えを明らかにしました。

資料
令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)の交付について(5月8日付、通知)
「令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施について」の一部改正について(5月8日付、通知)
令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施に当たっての取扱いについて(5月8日付、事務連絡)
令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)に関するQ&A(第2版)について(5月8日付、事務連絡)


5月8日から9月末まで、補助内容を整理して継続
コロナ感染症は5月8日に「5類感染症」へ移行しました。段階的に「幅広い医療機関で対応」していくため、補助内容を一部変更しました(一部を継続、一部を終了、一部を拡充)。ただ、コロナ感染症の今後の動向を見通すことは困難なため、「当面、2023年9月末までの対応」とされています。

新型コロナウイルス感染症対策事業、新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業
主に「入院病床の確保」等を支援するもので、新型コロナウイルス感染症患者の入院に当たって、病床確保、消毒、搬送、患者対応に伴い深夜勤務となる医療従事者の宿泊施設確保等、軽症・無症候の感染患者(以下、軽症者等)の宿泊施設確保や運営等―に関する経費について、次の額を上限として補助する(コロナ患者数が明らかに減少してきた場合には、即応病床を、通常医療病床にも活用できる準備病床に戻すなどの対応を適宜行う)

【病床確保】
→概ね「半減」するとともに、「コロナ患者を十分に受け入れていない場合」の補助を打ち切り

(A)通常(コロナ患者を積極的に受け入れている病院)の上限額

【重点医療機関である特定機能病院等】(特定機能病院、および2020年4月以降にECMO(体外式膜型人工肺)治療を行う患者が延べ3人以上の月・人工呼吸器治療を行う患者が延べ10人以上の月がある医療機関)
〇稼働病床の病床確保料の上限額
・ICU(1床・1日当たり):21万8000円
・HCU(同):10万6000円
・上記以外の病床(同):3万7000円

〇休止病床の病床確保料の上限額(即応病床1床当たり1床まで(ICU・HCU病床(重症者・中等症者病床)は2床まで))
・ICU(1床・1日当たり):21万8000円
・HCU(同):10万6000円
・療養病床(同):1万6000円
・上記以外の病床(同):3万7000円

【重点医療機関である一般病院】
〇稼働病床の病床確保料の上限額
・ICU(1床・1日当たり):15万1000円
・HCU(同):10万6000円
・上記以外の病床(同):3万6000円

〇休止病床の病床確保料の上限額(即応病床1床当たり1床まで(ICU・HCU病床(重症者・中等症者病床)は2床まで))
・ICU(1床・1日当たり):15万1000円
・HCU(同):10万6000円
・療養病床(同):1万6000円
・上記以外の病床(同):3万6000円

【その他医療機関】
〇稼働病床の病床確保料の上限額
・ICU(1床・1日当たり):9万7000円
・重症患者・中等症患者を受け入れ、酸素投与・呼吸モニタリングなどが可能な病床を確保する場合(同):4万1000円
・上記以外の病床(同):1万6000円

〇休止病床の病床確保料の上限額(即応病床1床当たり1床まで(ICU・HCU病床(重症者・中等症者病床)は2床まで))
・ICU(1床・1日当たり):9万7000円
・重症患者・中等症患者を受け入れ、酸素投与・呼吸モニタリングなどが可能な病床を確保する場合(同):4万1000円
・療養病床(同):1万6000円
・上記以外の病床(同):1万6000円



【宿泊施設借上げ費】
〇室料:1室・1日当たり1万3100円

【対象外】
〇食費も5月8日以降は補助対象外とする
〇軽症者等に対して電話や情報通信機器による診療等を行うためのソフトウェア導入・使用に係る費用は対象経費から除かれる



新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関等設備整備事業(旧新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関設備整備事業)
「新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関」において、病床・医療資器材等の確保を支援するもの(支援対象は、消耗品・人工呼吸器および付帯備品・個人防護具、簡易陰圧装置・簡易ベッド・体外式膜型人工肺(ECMO)および付帯備品・簡易病室など)の購入等費用を補助する
→従前から一部拡充している

次の額を上限として経費が補助されます。
〇初度設備費:1床当たり13万3000円
〇人工呼吸器・付帯備品:1台当たり500万円
〇個人防護具:1人当たり3600円
〇簡易陰圧装置:1床当たり432万円
〇簡易ベッド:1台当たり:5万1400円
〇体外式膜型人工肺(ECMO)・付帯備品:1台当たり2100万円
〇簡易病室・付帯備品(テントやプレハブなど):実費相当額
〇(新)HEPAフィルター付空気清浄機(陰圧対応可能なものに限る):1施設当たり90万5000円
〇(新)HEPAフィルター付パーテーション:1台当たり20万5000円



外来対応医療機関設備整備事業(帰国者・接触者外来等設備整備事業)
新型コロナウイルス感染症の疑い症例を診察する「帰国者・接触者外来」等の設置経費を補助し、感染拡大の防止・国民の不安軽減を目指すもの

補助対象は、「帰国者・接触者外来」等における、HEPAフィルター付き空気清浄機、HEPAフィルター付パーテーション、個人防護具(マスク、ゴーグル、ガウン、グローブ、キャップ、フェイスシールド)、簡易ベッド、簡易診療室(テントやプレハブなど簡易な構造をもち、緊急的かつ一時的に新型コロナウイルス感染症患者等に外来診療を行う診療室)および付帯備品―で、次の額を上限として経費が補助されます(従前と内容は変わらず)。
〇HEPAフィルター付空気清浄機(陰圧対応可能なものに限る):1施設当たり90万5000円
〇HEPAフィルター付パーテーション:1台当たり20万5000円
〇個人防護具:1人当たり3600円
〇簡易ベッド:1台当たり5万1400円
〇簡易診療室・付帯備品(テントやプレハブなど):実費相当額



DMAT・DPAT等医療チーム派遣事業
新型コロナウイルスの感染患者が急増する地域などにDMAT(災害派遣医療チーム)・DPAT(災害派遣精神医療チーム)などを派遣するにあたり、派遣費用や医療チームの活動費(個人防護具、医薬品、医療用消耗品、一般消耗品の購入などの必要)を補助するもの。派遣元医療機関に「派遣する医療従事者」の人件費相当を補助するなどを行い、それを財源に「当該スタッフの処遇改善」に充てることが期待される

【医療チーム派遣経費】
(一般医療機関に派遣する場合)
〇医師:1人1時間当たり7550円
〇医師以外の医療従事者:1人1時間当たり2760円
〇業務調整員:1人1時間当たり1560円

(臨時の医療施設、健康管理を強化した宿泊療養施設、入院待機ステーションに医療従事者を派遣する場合(関連記事はこちらとこちら)
〇医師:1人1時間当たり1万5100円
〇医師以外の医療従事者:1人1時間当たり5520円
〇(新)業務調整員:1人1時間当たり3120円

(重点医療機関に派遣する場合)
〇医師:1人1時間当たり1万5100円
〇医師以外の医療従事者:1人1時間当たり8280円
〇業務調整員:1人1時間当たり3120円

(新)(新型コロナウイルス感染症に感染した入所者に対して継続して療養を行う高齢者施設に派遣する場合)
〇医師:1人1時間当たり1万5100円
〇医師以外の医療従事者:1人1時間当たり8280円(本年(2023年)9月30日までの派遣に限った特例)
〇業務調整員:1人1時間当たり3120円

【医療チーム活動費】:実費相当額(個人防護具、医薬品、医療用消耗品、一般消耗品の購入など、医療チームが新型コロナウイルス感染症患者に対応するために必要な費用)



新型コロナウイルス感染症により休業等となった医療機関等に対する継続・再開支援事業
「患者が新型コロナウイルスに感染していた」などの理由から医療機関が診療縮小・休業等を迫られた際、再開等のためには「施設の消毒等が必要になる」ことを踏まえ、HEPAフィルター付空気清浄機(陰圧対応可能なものに限る)の購入費(1台当たり購入額90万5000円を上限、医療機関では2台まで、薬局では1台まで)、消毒費用等(1施設60万円まで)—に加え、新たに「HEPAフィルター付パーテーション」(1台当たり購入額20万5000円を上限)に、購入額の2分の1が補助されます。



新型コロナウイルス感染症を疑う患者受入れのための救急・周産期・小児医療体制確保事業
新型コロナウイルス感染症が疑われる救急搬送患者等を受け入れた場合、新型コロナウイルスに感染しているかどうかの検査実施、他の「新型コロナウイルス感染症以外の救急搬送患者」等への感染防止(隔離など)など特別の配慮が必要とることから、当該医療機関に次の額を上限として、必要な経費を補助するもの。(従前と内容は変わらず)。

〇初度設備費:1床当たり13万3000円
〇個人防護具:1人当たり3600円
〇簡易陰圧装置:1床当たり432万円
〇簡易ベッド:1台当たり5万1400円
〇簡易診療室および付帯する備品(テントやプレハブなど):実費相当額
〇HEPAフィルター付空気清浄機(陰圧対応可能なものに限る):1施設当たり90万5000円
〇HEPAフィルター付パーテーション:1台当たり20万5000円
〇消毒経費:実費相当額
〇救急医療を担う医療機関において、新型コロナウイルス感染症を疑う患者の診療に要する備品:1施設当たり30万円
〇周産期医療・小児医療を担う医療機関において、新型コロナウイルス感染症を疑う患者に使用する保育器:1台当たり150万円



新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関における外国人患者の受入れ 体制確保事業(旧新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関等における外国人患者の受入れ体制確保事業
新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関で、かつ、都道府県が選出する「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関(選出予定含む)」である医療機関や宿泊療養施設に対して、外国人患者の受入れにあたり必要な、外国人特有の課題に対応した入院治療・療養が可能な体制の整備、感染拡大防止対策、診療体制確保などに要する費用を補助するもの(次の額を上限とする)

〇入院医療機関:1施設当たり1000万円
※宿泊療養施設(1施設当たり200万円)の補助は打ち切り



新型コロナウイルス感染症重症患者に対応する医療従事者養成研修事業
新型コロナウイルス感染症の重症患者等には人工呼吸器やECMOによる管理が必要となるケースが少なくないが、これらの高度機器を操作するためには知識・技術が必要となり、そうしたスキルを持つ人材の育成を急ぎ進める必要がある。このため当該機器の操作に当たって必要な知識・技術を習得するための研修経費(開催費)を、次を上限に補助するもの(従前と内容は変わらず)

〇新型コロナ患者対応 ECMO 研修(基礎編および応用編):1開催当たり450万円
〇新型コロナ患者対応人工呼吸器研修(基礎編および応用編):1開催当たり200万円

(新)外来対応医療機関確保事業
本年(2023年)3月10日以降に新たに外来対応医療機関(いわゆる発熱外来、旧「診療・検査医療機関」)の対応を行い、「少なくとも2023年度中は外来対応医療機関の対応を行う」医療機関に対し、新たに1施設当たり50万円を補助する



一方、

新型コロナウイルス重症患者を診療する医療従事者派遣体制の確保事業
新型コロナウイルスに感染した医師等にかわり診療等を行う医師等派遣体制の確保事業
医療搬送体制等確保事業
ヘリコプター患者搬送体制整備事業
新型コロナウイルス感染症の影響に対応した医療機関の地域医療支援体制構築事業
医療機関における新型コロナウイルス感染症の外国人患者受入れのための設備整備事業
新型コロナウイルス感染症重点医療機関等設備整備事業

の補助メニューは「5月7日まで」となります。



また、 Q&A(第2版)では、次のような考えを明らかにしています。

〇コロナ感染症の終息後や感染症法上の位置づけ変更後においても、今後コロナ感染症が再拡大することも考えられるため、本交付金で整備した設備は、厚生労働大臣が別に定める期間を経過するまでは財産処分を行うことなく維持されることを想定している

〇5月7日で終了する分について、リース契約により1か月分のリース料となる場合には、日割り等による対応を行ってほしい

〇パルスオキシメーターは、本年(2023年)5月8日以降は補助対象「外」となる

〇緊急包括支援交付金を用いて購入しているパルスオキシメーターなどについては、やむを得ず生じた余剰在庫については、自治体において処分に代えて「売却が適当」と判断した場合には、処分に代えて売却することは差し支えない

〇本年(2023年)5月8日以降の病床確保料については、次のように取り扱う
病床確保計画に位置付けた上で行政が病床確保を要請した即応病床の空床・当該病床を確保するために休止した病床が病床確保料の交付対象となる
都道府県や医療機関などコロナ患者の入院調整を行う機関から入院受け入れ要請があった場合は、正当な理由なくコロナ患者入院受け入れ要請を断らないことが病床確保料の補助要件となる
その他国からの補助金等の申請を行う場合は、その基準額や対象経費等を算出するにあたり「病床確保料の交付対象となる病床数や費用と重複が起こらない」よう配慮してほしい

〇移送・搬送に係る費用は、以下の場合に補助対象となる
コロナ患者が医療機関に入院するため自宅・宿泊療養施設などから医療機関へ搬送する場合
コロナ患者が後方支援医療機関等に転院するための搬送を行う場合
コロナ患者のうち高齢者や妊婦を入院医療機関から宿泊療養施設へ移送を行う場合
コロナ患者のうち高齢者や妊婦が療養のために宿泊療養施設に入所するために移送する場合
診療のためのコロナ患者の移送を行う場合(本人が公共交通機関を含めて他の移動手段が確保できない場合に限る)
宿泊療養中の高齢者や妊婦が診療のため医療機関に移送し、診療後医師が引き続き療養が必要との判断された場合に宿泊療養施設に再移送する場合

〇5月8日以降、入院調整は「医療機関間で行うことが原則」となるため、医療機関間で入院調整が行える体制へ速やかに移行させる取り組むことを前提に、都道府県(保健所設置市含む)が入院調整を行う場合、もしくは、医療機関間と都道府県(保健所設置市含む)が連携した入院調整を行う場合には、入院調整は補助対象となる

〇医師等の医療従事者を「都道府県が実施するコロナ重症患者に対応する医療従事者養成研修」に派遣した場合、本年(2023年)5月8日以降、DMAT・DPAT等医療チーム派遣事業の対象となる

〇5類移行後に新たにコロナ患者を受け入れたことなどにより、院内感染が発生し、一時的に患者を受け入れられなくなった医療機関について、従前の「みなし重点医療機関への補助」に相当するため、施設要件や看護体制は重点医療機関のものを適用する。