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リハビリテーションは「早期介入」がカギ! その重要性と現状

2025年6月26日に開催された「入院・外来医療等の調査・評価分科会」では、リハビリテーションに関する重要な議論が行われ、その中で「生活機能回復リハビリテーション」「退院支援」「疾患別リハビリテーションの早期介入」の4つの内容が特に言及されました。本コラムでは、この中でも特に「疾患別リハビリテーションの早期介入」に焦点を当てて、その重要性と日本の現状について掘り下げていきます。

なぜ早期介入が重要なのか?

病気や怪我によって身体機能が低下した際に、元の生活に戻るために欠かせないのがリハビリテーションです。
特に、発症後なるべく早くリハビリを開始する「早期介入」が、その後の回復に大きな影響を与えることが知られています。
下記の図表1からも、早期かつ継続的にリハビリ介入した例と、介入が不十分で廃用症候群を発症した例とで身体機能の改善・回復の変化が比較されており、その効果は一目瞭然です 。
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(図表1:(令和7年度第5回)入院・外来医療等の調査・評価分科会 P150より
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001510369.pdf)
また、図表2によると、脳卒中の場合、発症後24〜48時間からの離床開始が適切である可能性が指摘されており、脳梗塞の症例においては、入院3日目以降のリハビリ開始では退院時の機能回復に悪影響が出る可能性も示唆されています。早期介入により、身体機能の低下を最小限に抑え、集中的なリハビリテーションへとスムーズに移行できるため、回復の度合いや期間にも良い影響が期待できるのです。
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(図表2:(令和7年度第5回)入院・外来医療等の調査・評価分科会 P152より https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001510369.pdf)

早期介入の現状は?

早期からのリハビリテーションを推進するため、2024年度の診療報酬改定で「急性期リハビリテーション加算」が新設されました。この加算は、重症な患者に対して早期から集中的なリハビリを提供する医療機関を評価するものです 。
しかし、図表3を見ると、課題も浮かび上がってきます。急性期の疾患別リハビリテーションが初回算定された日の平均は3.7日であり、中央値は3日でした。さらに、14日以内に疾患別リハビリテーションを実施した症例のうち、約4割(38%)が3日目以降の介入となっている現状が報告されています 。
急性期リハビリテーション加算には、病棟に入ってからリハビリを開始するまでの日数に関する具体的な要件は設定されていません。このため、早期介入の重要性が認識されつつも、実際の現場では必ずしも速やかなリハビリ開始に繋がっていないケースもあるようです。分科会では、加算の算定状況などを踏まえ、リハビリテーションの評価方法や加算制度の見直しに関する意見が寄せられ、土日祝日のリハビリ提供体制の把握など、さらなる分析が必要であると結論づけられました。
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(図表3:(令和7年度第5回)入院・外来医療等の調査・評価分科会 P155より https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001510369.pdf)

【今後の展望】

リハビリテーションは、患者のADL能力の改善とともに生活の質(QOL)向上を大きく左右する重要な医療行為です 。早期介入の重要性に関するエビデンスが蓄積される中、今後はより多くの患者が、発症後できるだけ早い段階で適切なリハビリテーションを受けられるような体制が求められます 。
医業経営コンサルタント としては、診療報酬上の評価だけでなく、医療機関の経営戦略としても早期介入の推進は不可欠であると考えます。早期介入は、患者の在院日数の短縮、合併症の予防、退院後の再入院率の低下に繋がり、結果として医療資源の効率的な活用と病院経営の安定化に貢献します。
具体的な課題としては、医療現場での意識のさらなる向上、多職種連携による迅速なリハビリテーション提供体制の構築が挙げられます 。これには、以下のような取り組みが考えられます。
「院内プロトコルの明確化と標準化」:
発症早期からのリハビリテーション開始基準や手順を明確にし、全医療スタッフが共有する。
「人材育成と配置」:
早期介入を担うリハビリテーション専門職の育成と適切な人員配置、特に休日や夜間の体制強化。
「情報通信技術の活用」: 患者情報のリアルタイム共有システムを導入し、多職種間の連携を強化。
「データ活用とPDCAサイクル」:
リハビリテーションの開始時期や効果に関するデータを継続的に収集・分析し、改善策を立案・実行する。
「経営層のコミットメント」:
早期介入が患者アウトカム向上と経営改善に直結するという認識を経営層が持ち、必要な投資を戦略的に行う。

これらの取り組みを通じて、患者さん一人ひとりが最適なタイミングで質の高いリハビリテーションを受けられる環境を整備することが、今現在、リハビリテーションを提供する医療機関に求められていることではないかと元セラピストである筆者は考えています。
収益改善
私たち医療総研(株)は、医療機関が求められる「医療の質の維持・向上」と「経営の効率化」という2つの命題を同時に実現するために、医療機関の皆様をご支援いたします。
2025年1月 医療総研株式会社 代表 伊 藤 哲 雄

食料品の止まらない値上げの波、病院給食にも影響 ~患者負担増と医療現場の苦悩~

昨今、日本国内ではお米をはじめとする食料品の高騰が連日報じられていますが、この物価高騰の波は病院給食にも大きく押し寄せています。2024年4月1日からは「入院時の食費基準額の見直し」として、入院時の食費基準額が以前の価格から20円引き上げられました。今回は、この病院給食の値上げについて、その背景と今後の課題を深掘りしていきます。

病院給食値上げの背景と度重なる価格改定

病院給食の価格は、1994年10月に「入院時食事療養費制度」が発足して以来、1日あたり1,900円(自己負担600円、保険給付1,300円)と定められました。
その後、1997年4月からは1日1,920円(1食あたり640円)と長く据え置かれてきました。
(図表1)
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(図表1):入院時の食費について「「入院時食事療養費制度」発足以来の食事療養費等の変遷」https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001365190.pdf
しかし、近年における食材費、人件費、光熱費などの高騰は、病院給食を提供する病院にとって大きな負担となっています。厚生労働省の資料によると、2021年から2022年にかけて病院給食の委託単価は1日あたり1,962円から1,997円へと上昇し、従来の公定価格である1,920円(640円×3食分)を上回る状況が続いています (1。
(1出所:「第170回社会保障審議会医療保険部会 議事録より」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37122.html?utm_source=chatgpt.com

また、食料支出と消費者物価指数(CPI)の動向を見ても、2022年以降、両項目ともに上昇傾向にあることが明らかです。 このような状況を鑑み、病院給食の値上げは避けられないものとなりました 。
(図表2)
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(図表2):入院時の食費について「入院時の食費をめぐる状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001365190.pdf

2年連続の値上げと患者自己負担額の増加/b>

このような状況を受け、厚生労働省は2024年度の診療報酬改定において、入院時食事療養費の基準額を1食あたり30円引き上げ、640円から670円としました 。しかし、その後も物価高騰が続いたため、2025年4月からは追加で1食あたり20円の引き上げが実施され、現在の基準額は690円となっています。
(図表3)
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(図表3):「別紙1 入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001388389.pdf
これに伴い、患者さんの自己負担額も増加しています。一般所得者の場合、自己負担額は490円から510円に引き上げられました。 一方で、低所得者層への配慮として、所得区分に応じた負担軽減措置も講じられています。 例えば、住民税非課税世帯の場合は230円から240円に増加しますが、住民税非課税かつ所得が一定基準を満たさない70歳以上の場合、自己負担額は110円で据え置かれています 。
(図表4)
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(図表4)「令和6年度診療報酬改定 Ⅲ-1 食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応-①」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001440678.pdf

今後の課題として:質の高い病院給食の提供と持続可能な制度設計に向けて

病院給食の値上げは、物価や人件費の高騰に対応するためのやむを得ない一歩ではありますが、根本的な課題は依然として残されています。人手不足、委託業者の経営悪化、そして制度の見直し不足など、多方面からの継続的な改善が求められています 。
今後、質の高い食事を安定して患者さんに提供し続けるためには、制度設計や運営体制の抜本的な見直しが不可欠です。患者さんの栄養管理と満足度を維持しつつ、病院経営の負担を軽減できるような、持続可能な仕組みの構築が急務と言えるでしょう。医療現場の努力だけでは解決できない問題であり、国を挙げた議論と具体的な対策が望まれます。
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2025年1月 医療総研株式会社 代表 伊 藤 哲 雄

新年度のベースアップ評価料算定にむけた3ステップが明らかに

前回のコラムでも取り上げたベースアップ評価料に関して、厚生労働省から新たな通知がありました。具体的には、「ベースアップ評価料届出後の流れ」についての詳細が明らかになりました。本コラムでは、その概要についてご紹介します。
(以前のコラム:https://iryo-soken.co.jp/blog/article.html?page=141)

ベースアップ評価料届出後の流れとは?

これまでベースアップ評価料を算定した医療機関には、「賃金改善計画書」および「賃金改善実績報告書」の作成と提出が求められていましたが、その具体的な手続きについては示されていませんでした。今回の通知では届出後に必要な手続きの流れと合わせて、「賃金改善計画書」と賃金改善実施報告書の詳細についても示されました。

ベースアップ評価料届出後の流れを大まかに見ると3つのSTEPが必要とされています。

<STEP1:令和6年度分評価料と賃金増加分の差額を確認>
まずは「賃金改善計画書」と「賃金改善実績報告書」の作成(STEP2および3)
に向けて、以下の①~③を確認します。

① 「令和6年度分ベースアップ評価料収入の集計
(ベースアップ評価料の算定を開始してから令和7年3月まで)」
② 「(対象職員の)賃金改善措置による賃金増加分の計算」
③ ①「ベースアップ評価料収入」と②「賃金改善措置による賃金増加分」
  の差額を計算
計算した差額を参考に必要に応じて、令和7年度の賃金改善計画における対象職員へのベア等の金額を見直すことができます。また、「ベースアップ評価料収入分」に余りが出ている場合には、余り分は令和7年度に繰り越して、令和7年度の賃金改善分に用います。令和7年度の賃金改善計画において、 繰り越し分+令和7年度の「ベースアップ評価料算定金額見込み」により、ベア等の金額(対象職員の基本給等にかかる1か月の賃金改善見込み額)を再度調整します。


<STEP2:賃金改善計画書の作成と提出>
令和7年6月30日までに令和7年度分の「賃金改善計画書」を作成し厚生局に提出する必要があります。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを届出する場合にはベースアップ評価料Ⅰ専用届出様式のファイルを選択し、上記以外の場合は従来版のベースアップ評価料届出様式のファイルを選択します。ファイルを選択後は記載が必要とされているシートを使用して賃金改善計画書を作成します(図表1)。
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図表1:令和7年度分「賃金改善計画書」の作成・提出 ②従来版様式

(出所:厚生労働省 令和7年度分「賃金改善計画書」の作成・提出 ②従来版様式https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001467693.pdfのP8より)
また、提出する際は、区分変更がなければ賃金改善計画書のシートのみの提出で可能となっています。


<STEP3:賃金改善実績報告書の作成と提出>
前年度にベースアップ評価料を届け出ている医療機関等は8月31日までに地方厚生(支)局へ「賃金改善実績報告書」の作成・提出が求められています。
報告書の内容に関しては、記載が必要とされているシートへ賃金改善実施期間やベースアップ評価料算定期間、前年度のベースアップ評価料による収入実績等を必要とされている項目を入力し、作成します。
以上のSTEP1~3までを表にまとめたものが下記となりますので再度、チェックしておきましょう(図表2)。
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図表2:ベースアップ評価料届出後の流れ(令和6年6月から令和7年2月までにベースアップ評価料の届出を行った場合)
(出所:厚生労働省 事務連絡(令和7年3月31日)/ベースアップ評価料による賃金改善の実績報告に係る届出様式の改定等についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001467693.pdfのP2より)
また、「賃金改善計画書」と「賃金改善実績報告書」を作成するうえで「給与総額」と「基本給等総額」の違いについて疑義解釈に記載があったので見てみましょう。

【疑義解釈 問7】
ベースアップ評価料の届出様式における
「給与総額」と「基本給等総額」の定義如何。

「給与総額」とは基本給のほか、各種手当や賞与等、法定福利費の事業主負担分を含む金額であり、「基本給等総額」とは「給与総額」のうち、基本給及び決まって毎月支払われる手当を指す。
(出所:厚生労働省 事務連絡 令和7年度3月31日/ベースアップ評価料による賃金改善の実績報告に係る届出様式の改定等について「疑義解釈」https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001469798.pdf の別添8 P5)

具体例として、「基本給等総額」の含めるものとしては、基本給、住居手当、調整手当、家族手当、役職手当 通勤手当、資格手当等の決まって毎月支払われる手当とされています。また、役員報酬は基本給等総額に含まれないので注意が必要です。


最後に、ベースアップ評価料は、医療業界が直面する人材不足という深刻な課題に対する、重要な診療報酬のひとつです。以前のコラムでも触れましたが、この制度を活用してエッセンシャルワーカーの賃金改善を図ることは、職員の安定的な確保とモチベーションの向上につながります。その結果として、現場の働きやすさが向上し、最終的にはより質の高い医療を患者に提供することが可能になります。制度を「評価料」として終わらせず、実効性のある運用につなげていくことが、今後ますます求められていくでしょう。
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新年度を迎え、あらためてベースアップ評価料を再確認

2025年も4月となり、早くも新年度を迎えました。
新年度になると新たな従業員が入職してくる医療機関も少なくはないでしょう。
2024年度の診療報酬改定では、医療従事者の賃金改善のための診療報酬として「ベースアップ評価料」が新設されました。2024年度に続き2025年度も当該評価料を活用して、賃金の引き上げを計画している場合には厚生局へ届出が必要とされています。
そこで本コラムでは、新年度に向けたベースアップ評価料に算定に関して、解説していきます。

〈ベースアップ評価料とは?〉
2024年の診療報酬改定で新設された「ベースアップ評価料」は、医療従事者の賃金引き上げを目的とした診療報酬です。新設された背景には、食材料費や光熱費などの物価高騰への対応に加え、コロナ禍を経て日本全体で賃上げの機運が高まる中、医療従事者の賃金水準の低さが課題として浮き彫りになったことがあります。特に他業界との賃金格差は、医療機関での人材確保を困難にしていることが考えられます。そこで医療機関は、このベースアップ評価料を活用して賃金改善を図り、人材確保につなげることが期待されています。

〈対象となる医療従事者〉
ベースアップ評価料の対象となるのは、医療機関で働く一定の職種の医療従事者です。ただし、医師・歯科医師や、医療事務スタッフ(医師事務作業補助者や看護補助者が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業を除く)は対象外となっています。
具体的には、
・看護師
・准看護師
・薬剤師
・診療放射線技師
・臨床検査技師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・介護福祉士 など
これらの職種が対象となります。これにより、直接的な医療行為や患者ケアに関わる職種の賃金が改善し、医療機関の職員定着率の向上にも寄与することが期待されています。

〈ベースアップ評価料の種類と取得要件〉
ベースアップ評価料には、主に3つあります。
①外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
②外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(無床診療所のみ)
③入院ベースアップ評価料(入院・有床診療所のみ)
これらの評価料を算定するためには、2024年度および2025年度に対象職員の賃金を改善する必要があり、評価料の収益は賃金の引き上げや賞与、時間外手当、法定福利費などに充当しなければなりません。
また、給与改善の具体的な内容については、各医療機関での経営状況や賃金体系に応じて異なりますが、原則、基本給又は月次支払いの手当として反映させることが求められます。

〈ベースアップ評価料の算定の流れ
※具体例として病院の場合
①対象職員の給与総額を計算
202X年X月から202X年X月に実際に支払った給与総額をもとに算出
②外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の算定見込みを計算
202X年X月から202X年X月における初診料や再診料の算定回数をもとに見込みを算出
③入院ベースアップ評価料の算定見込みを計算
202X年X月から202X年X月の延べ入院患者数をもとに、算定区分(1~165種類)を決定
④医療従事者の賃上げ見込みの計算
厚生労働省の「ベースアップ評価料計算支援ツール(医科)」を使用

〈届出と報告書の提出〉
ベースアップ評価料を取得するためには、施設基準の届出に加え、以下の2点を地方厚生(支)局へ提出する必要があります。
(2025年度も引き続き提出が必要となります)
・賃金改善計画書(6月提出)
ベースアップ評価料を届出した医療機関は前年の実績をもとに、2024年度に2023年度比で2.5%以上、2025年度に4.5%以上を目安に引上げとつながるように賃金改善計画書の作成が求められています。また、新年度を迎えるにあたって計画書は4月に作成し、6月末までに厚生局に提出するようになっています。
・賃金改善実績報告書(8月提出)
これらの書類では、ベースアップ評価料による賃金引き上げの状況だけでなく、自主財源を含めた全体的な賃金改善の状況も報告しなければなりません。
さらに、提出時には、給与支給状況を示す証拠書類(給与明細や賃金台帳など)の添付が求められる場合もあるため、事前の準備が重要です。

〈定期的な届出の必要性〉
入院ベースアップ評価料(および外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ))については、毎年3月・6月・9月・12月に新たに算定し、区分変更がある場合は月内に地方厚生(支)局へ届出を行う必要があります。ただし、前回届出時点と比較して1割以内の変動であれば、届出は不要となります。

〈まとめ〉
近年、医療業界では人材不足が課題となっています。こうした状況の中で、医療従事者の待遇改善は喫緊の課題であり、安定した人材確保のためには従業員の賃金の引き上げも不可欠です。ベースアップ評価料は、医療機関が職員の賃金を一定以上引き上げた場合に算定できる診療報酬であり、医療従事者の待遇向上と働きやすい環境の整備に向けた施策です。従業員の給与の改善がモチベーション維持へとつながり、結果として患者への対応や医療サービスの向上など医療の質の向上にも寄与することが期待できます。
今後の診療報酬改定の動向や、ベースアップ評価料の適用範囲・要件の変化を把握することも重要です。厚生労働省のガイドラインや計算支援ツールを活用し、制度を適切に運用することで、スムーズな算定を目指すとともに、医療従事者が安心して働ける環境を整備していくことが求められます。
2025年1月 医療総研株式会社 代表 伊 藤 哲 雄
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2025年1月 医療総研株式会社 代表 伊 藤 哲 雄
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ホームページリニューアルにあたっての代表挨拶

医療総研株式会社代表の伊藤です。ホームページリニューアルに際して、一言、ご挨拶申し上げます。
数年ぶりに弊社ホームページを刷新し新しい装いとなりました。その間、世の中の変化は目まぐるしいものがありました。コロナ禍、地震・豪雨などの自然災害、世界的な戦禍、それに伴うエネルギー問題、円安の進行による物価高など、私たちの生活にも多くの変化がみられ現在も継続しています。その流れは医療界にも大きな影響を及ぼしていますが、医業経営的にみるとポストコロナへの対応、少子高齢化に伴う診療の変化、従業員採用への影響、建築費の高騰による建て替えへの高障壁など、医療機関にとっては大変厳しい状況が続いております。そういった状況のもとではありますが、私たち医療総研は今までにも増して、医療機関の皆様がよりよい経営を継続できるように、引き続きご支援をしてまいります。
弊社コンサルティング領域は従来から継続の、経営改善コンサルティングの根幹である収益改善、人事制度構築、組織運営支援に加え、地域医療の継続をご支援すべく、事業承継、M&Aについても事業領域に加え、新たなスタートを切りました。内容については、新装なった当社ホームページをご覧いただければと思います。
2025年の干支は巳、弊社には年男が3人と非常に巳年生まれが多い会社です。蛇は「再生や変革を表す生き物」だそうです。その年にホームページのリニューアルを行ったのも何かの縁かもしれません。社内の年始の顔合せで、私の方から社員に向けて『蛇は脱皮して成長していくので、「今年はみんなで公私とも一皮むけた人間になるようにしよう」』、とあいさつをいたしました。年末にはみんな成長した姿を見せたいものです。
弊社は渋谷駅より徒歩5分の青山通りに面したところにあり、すぐそばに青山学院大学があり、新春恒例の箱根駅伝での活躍は皆様のご記憶にもまだ鮮明に残っているものと存じます。企業経営も、山あり谷ありですが、山登りを制する者が箱根を制すると同様に、厳しい状況の中、着実に前を向き向上していく所存でございます.
わが医療総研株式会社は、2年後の2027年に創立30周年を迎えます。ここまで会社として存続できましたのも、ひとえに皆様のご支援の賜物であり感謝の念に堪えません。今後とも従来にも増してお引き立てよろしくお願い申し上げます。
2025年1月 医療総研株式会社 代表 伊 藤 哲 雄
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セミナー「2024年度診療報酬改定が医業経営に及ぼす影響と対策 」ご案内

セミナー「2024年度診療報酬改定が医業経営に及ぼす影響と対策 」ご案内

2024年は、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の改定に加え、6年に一度見直しされる医療計画の改定年にもあたり、医療・保健・介護・福祉の事業に携わる私たちにとってとても重要な年といえます。また、地域医療構想のゴールである2025年の前年にもあたり医療制度の大きな見直しが想定されます。先週、1月26日に点数はまだ未記入ですが、2024年診療報酬個別改定項目が741ページのボリュームで発表されました。改定のたびにページ数が増えて読み込むのもひと苦労です。本コラムでは詳細を述べるスペースがありませんが、来る3月4日に弊社代表の伊藤が、医療・介護・ヘルスケア戦略特別セミナー(主催:株式会社 新社会システム総合研究所)を実施いたします(添付のパンフレットをご参照ください)。
本講座では、診療報酬改定を中心に、過去からの医療制度改革の流れを確認しながら、令和6年度の改定の意味、内容を概説いたします。また、日本において人口減少・少子高齢化が進展する中、今後の医業経営を健全に維持・発展させるために医療機関が何をなすべきかについても、中小企業診断士で医業経営コンサルタントのプロである講師が対応策を解説いたします。
 セミナーの時点では点数も発表され、より具体的な診療報酬改定の内容を披露できると思います。ご期待ください。

セミナー講義のながれ
1. 医療提供体制の変遷…地域医療構想、地域包括ケアシステム etc.
2. 診療報酬改定の変遷
3. 入院医療…機能の明確化 etc.
4. 外来医療…紹介受診重点医療機関 etc.
5. 令和6年度診療報酬改定概説
6. これからの医療制度の課題
7. 医療機関に求められる今後の対応

令和6年度診療報酬・薬価等改定について

令和6年度診療報酬・薬価等改定について

令和6年度診療報酬・薬価等改定は、医療費の伸び、物価・賃金の動向、医療機関等の収支や経営状況、保険料などの国民負担、
保険財政や国の財政に係る状況を踏まえ、以下のとおりとなりました。

1.診療報酬 +0.88%(国費800 億円程度(令和6年度予算額。以下同じ))
 各科改定率 医科 +0.52%
歯科 +0.57%
調剤 +0.16%

うち 看護職員等ベア対応 +0.61%
食費基準額の引き上げ +0.06%
効率化・適正化 -0.25%
その他 +0.46%

2.薬価等 -1.00%(国費▲1,200 億円程度)
 ①薬価     -0.97%(国費▲1,200 億円程度)
 ②材料価格  -0.02%(国費▲20 億円程度)

全体改定率  -0.12%

2023年8月病院報告 患者数について、コロナ禍前(2019年7月末)との比較で入院7.8%減、外来5.1%減—厚生労働省 病院報告

2023年8月病院報告 患者数について、コロナ禍前(2019年7月末)との比較で入院7.8%減、外来5.1%減—厚生労働省 病院報告

11月17日の厚生労働省の公表した2023年8月分病院報告では、
・2023年8月末の患者数、コロナ禍前の2019年7月末比で入院7.8%減、外来5.1%減
・病院の平均在院日数、「短縮」と「延伸」を繰り返す混乱がいまだ継続
・一般病床の利用率、コロナ感染症の影響で2023年8月末は72.7%と依然として低い水準

であることがわかりました。

本年(2023年)7月末における1日平均患者数は、病院全体で、入院:114万1213人、外来:124万897人となりました。
前年同期2022年7月末と比べると、入院では3.0%の増加、外来では4.6%の減少となりました。外来の減少は今夏の新型コロナウイルス感染症第9波の影響が考えられます。
また、 2021年8月末と比べると、入院では0.6%の減少、外来では0.9%の減少。 2020年8月末と比べると、入院では1.4%の減少、外来では7.5%の増加となりました。
さらに、コロナ感染症の影響がない2019年8月末と比較してみると、入院では7.8%減、外来では5.1%減となっています。

入院・外来ともにコロナ禍前の患者数には、いまだ戻っていないことが確認できます。入院についてはコロナ重症患者等をすぐさま受け入れられるような空床(即応病床)の確保、コロナ重症患者に対応するための、一部病棟・病床閉鎖などが続いていることが、患者数が依然として戻らないことの要因であると考えられます。このため入院に関して、当面、患者減の傾向が継続すると考えられます。

〇医療法上の病床種別ごとの「入院患者数」と「過去の同月からの変化」
・一般病床:64万2419人(前年同月比9.1%増、2021年8月比4.0%増、2020年8月比2.3%増、2019年7月比6.0%減)
・療養病床:23万2374人(前年同月比0.4%減、2021年8月比4.9%減、2020年8月比6.5%減、2019年8月比14.1%減、ただし療養病床→介護医療院への移行なども加味して考えなければならない)
・精神病床:26万3628人(前年同月比0.6%減、2021年8月比2.9%減、2020年8月比4.9%減、2019年8月比6.9%減、ただし地域移行推進による減少なども加味して考えなければならない)
・結核病床:1194人(前年同月比8.9%増、2021年8月比0.8%減、2020年8月比16.1%減、2019年8月比21.4%減)
また、平均在院日数は、病院全体では25.6日となり、前月から0.4日の短縮となりました。
病床種別に見ると、
・一般病床:15.3日(前月から0.2日短縮)
・療養病床:119.5日(同7.1日短縮)
・精神病床:259.7日(同4.8日短縮)
・結核病床:29.5日(同8.0日短縮)
・感染症病床9.9日(同増減なし)

コロナ感染症の影響により、ある月に短縮すれば、翌月に延伸し、さらにその翌月には再び短縮するなどの状況が繰り返されており、依然として医療現場の混乱が続いていることがわかります。

さらに、月末病床利用率を見ると、病院全体では76.8%で、前年同期2022年8月末と比べて2.7ポイント上昇、コロナ感染症が本格化していた2021年8月末と比べて1.1ポイント上昇、2020年8月末と比べて0.9ポイント上昇でしたが、逆にコロナ禍前の2019年8月末と比較すると1.2ポイント低下となりました。

とくに急性期・高度急性期病床では、コロナ感染患者受け入れのために空床を確保しておくこと、コロナ感染症対応のために、一部病棟・病室を閉鎖し医療資源を集約化することなどが必要なことも手伝って病床利用率が下がっていると考えられます。これらの数字からもコロナ感染症流行前の状況には依然として戻っていないことがわかります。

〇病床種別の利用率
・一般病床:72.7%(前年同月比5.9ポイント上昇、2021年8月比4.2ポイント上昇、2020年8月比2.8ポイント上昇、2019年8月比0.4ポイント上昇)
・療養病床:84.4%(前年同月比1.3ポイント上昇、2021年8月比0.3ポイント低下、2020年7月比0.1ポイント低下、2019年7月比2.6ポイント低下)
・精神病床:82.1%(前年同月比0.4ポイント低下、2021年8月比1.3ポイント低下、2020年8月比2.9ポイント低下、2019年8月比3.9ポイント低下)
・結核病床:31.5%(前年同月比3.5ポイント上昇、2021年8月比1.4ポイント上昇、2020年8月比3.3ポイント低下、2019年8月比3.3ポイント低下)
・感染症病床:89.2%(前年同月比871.8ポイント低下、2021年8月比736.7ポイント低下、2020年8月比29.6ポイント低下)

このように、一般病床とりわけ急性期病床を中心に、コロナ感染症の重症患者が発生した場合に、すぐさま受け入れられるように空床にしておくことも求められているため、長期間で低い水準で推移していることがわかりました。

訪問看護におけるオンライン資格確認の導入について、議論がなされました-中医協総会

訪問看護におけるオンライン資格確認の導入について、議論がなされました-中医協総会

10月11日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で訪問看護におけるオンライン資格確認の導入について議論・検討されました。

訪問看護レセプトのオンライン請求・オンライン資格確認

• 訪問看護ステーションにおいて、令和6年6月よりレセプトのオンライン請求とオンライン資格確認を開始する。
• また、令和6年秋の保険証廃止を見据えつつ、オンライン請求・オンライン資格確認を義務化する。その際、現行の保険証廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提であり、医療現場に混乱が生じないよう、安心してマイナ保険証を利用できる環境を実現する。

1. オンライン請求・オンライン資格確認の開始

・訪問看護ステーションのオンライン請求を開始(省令改正・令和6年6月施行予定。適用は翌月請求分から)
・訪問看護ステーションのオンライン資格確認を開始 ※令和6年6月開始予定
・訪問看護ステーションに対するオンライン資格確認導入に係る財政支援
※ オンライン請求の開始に向けて準備が必要な機器等の一部は、オンライン資格確認と兼用することが可能
 
2. オンライン請求・オンライン資格確認の義務化・経過措置

・ 訪問看護ステーションにオンライン請求を義務化(省令改正・令和6年秋(保険証廃止時期)施行予定)  
※ 経過措置:通信障害、システム整備中、ネットワーク環境、改築工事、廃止・休止、その他特に困難な事情
・訪問看護ステーションにオンライン資格確認を義務化(省令改正・令和6年秋(保険証廃止時期)施行予定) 
※ 経過措置:システム整備中、ネットワーク環境、改築工事、廃止・休止、その他特に困難な事情

論点として以下のことがあげられました。

○令和6年秋の保険証廃止を見据えつつ、訪問看護基準(省令)を改正し、訪問看護におけるオンライン資格確認 の導入を義務化することとしてはどうか。その際、令和6年秋時点でやむを得ない事情がある場合は、期限付きの 経過措置を設けることとしてはどうか。
○ 居宅同意取得型に実装される再照会について、当該医療機関等との継続的な関係のもと訪問診療等が行われている場合における2回目以降の訪問においては、療養担当規則等に法令上の資格確認方法として位置づけることとしてはどうか。
○ 療養の給付等に関する請求方法等についての法令改正を踏まえた療養担当規則等の改正を行ってはどうか。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001155187.pdf

令和6年度診療報酬改定について「高齢者の救急搬送等」「かかりつけ医機能」をどのように対応し、どのように報酬で評価すべきか検討される—中医協

令和6年度診療報酬改定について「高齢者の救急搬送」や「かかりつけ医機能」をどのように対応し、どのように報酬で評価すべきか検討される—中医協

令和6年度の診療報酬改定に向けて、9月27日に開催されました中央社会保険医療協議会の総会、および診療報酬基本問題小委員会「入院医療等の調査・評価分科会」の中間まとめ報告が行われました。入院医療・外来医療のそれぞれについて、今後の個別具体的な論議に資する技術的検討事項が改めて整理されました。
 また、同日の中医協総会では「2022年度医療費の動向」を踏まえ、医療機関の経営状況をどのように見るべきか、という議論も行われています。

「高齢者の救急搬送、急性期入院医療」にどのように対応すべきかが最重要論点

中医協の下部組織「入院医療等の調査・評価分科会」で中間まとめが行われました。
例えば急性期入院医療では「高齢の救急搬送患者、急性期患者をどの病棟で受けるべきか、関連して看護必要度の評価内容をどう見直すべきか」「平均在院日数の基準を短縮すべきか」、回復期リハビリ病棟では「リハビリ・栄養・口腔管理の一体的実施をどう進めるか」、外来では「がん化学療法の外来移行をどう進めるか」などが重要検討項目として浮上しています。

9月27日の基本小委・総会には、この中間まとめが報告されました。
中医協委員からは、今後の議論に資するよう、例えば次のような「分析の深掘り」「技術的・専門的な見地からの更なる検討」を行ってほしいとの要請がの声が挙がったようです。

【外来医療について】
特定疾患療養管理料では、在宅時総合医学管理利用などと異なり「時間外加算1取得医療機関での算定多い」との傾向は見られないが、それは特定疾患療養管理料の算定要件に「時間外加算1取得」が含まれていないためで、当然のことではないか。「時間外加算1を取得していない医療機関」がかかりつけ医機能を果たしていないわけではない。特定疾患療養管理料算定病院が地域で果たしている「かかりつけ医機能」について、より多面的な分析をすべきである。

かかりつけ医機能発揮の観点から、「どのような疾患を特定疾患療養管理料の対象に含めるべきか」を検討すべきである(例えば慢性腎炎や間接リウマチ、認知症なども対象に含めるべき)

コロナ禍で慢性疾患患者の受診控えが生じ、「治療間隔の延伸」「治療中断」なども起こっている。医学管理の質を確保する観点から、「長期処方の増加度合」やそれに伴う「医療機関の負担増」なども分析すべき。

高血圧症などの慢性期疾患の管理について、生活習慣病管理料や地域包括診療料等の算定は極めて少ない。既存の「かかりつけ医機能を評価する」とされている診療報酬項目を体系的に整理しなおし、慢性疾患の管理をどの診療報酬項目で評価するかを考えていくべき。

特定疾患療養管理料でも「計画書作成・交付」などを要件化し、より効率的・効果的な疾患管理を行えるようにすべき。

オンライン診療の適切な実施に係る指針では「初診での睡眠薬処方は禁止」されているが、不眠症が上位疾患に浮上しており「不適切なオンライン診療の可能性」が示唆されている。さらなる分析を進め「健全な形でのオンライン診療の普及」を目指すべき。


【入院に係る横断的事項】
「病院に歯科があるケース」と「外部から歯科クリニックが関与するケース」との違いなどについて分析を進めるべき。


【急性期入院医療について】
総合入院体制加算から急性期充実体制加算への移行の背景には「点数差」(急性期充実>総合入院)があるのではないか。総合入院体制加算の役割を踏まえた「点数引き上げ」を検討すべき。

看護必要度A項目について2022年度に「点滴ライ同時3本以上管理」が「薬剤3種類以上管理」に見直されたが、該当割合が急増している。どういった薬剤が使用されているのかなどを詳しく見るべき。

高齢者の救急搬送・急性期入院医療をどういった病棟で主に対応するかも考慮した制度設計を考えていく必要がある。

「高齢者の救急搬送・急性期入院医療にどう対応していくか」が今後ますます重要な課題となる。その際「地域包括ケア病棟で受ければよいではないか」といった乱暴な議論をするのではなく、「2次救急病院では、まず急性期病棟で初療し、必要に応じて地域包括ケア病棟へ転棟する」「2次救急対応ができない病院の地域包括ケア病棟では、まずトリアージをきちんと行える急性期病院で初療し、必要に応じて下り搬送で受け入れる」といった丁寧な視点で検討していかなければならない。


【DPC改革について】
効率性係数・指数については「本来の趣旨に沿わないケース」があることを踏まえて「計算方法の見直し」などを検討すべきだが、複雑性係数・指数については「計算方法の見直し」ではなく、データ数の少ない病院などはDPCからの退出を促すルールを検討すべき。


【回復期入院医療について】
高齢者の救急搬送・急性期入院医療について、「下り搬送を行い地域包括ケア病棟で受ける」ことが現実的であろう。ただし、「地域包括ケア病棟に直接入棟する患者」と「急性期病棟を経て地域包括ケア病棟に入棟する患者」都では、医療資源投入量等が大きく異なり、両者を同様に扱うことには疑問がある。そうした点を専門的視点で整理してほしい。

回復期リハビリ病棟における「FIM測定の適正化、第3者評価」に関連して、「入棟中のFIMの定期的な評価」を導入する方向で検討を進めてほしい。


【慢性期入院医療について】
療養病棟における医療区分の精緻化・細分化の方向には賛同できる。介護施設等との役割分担も踏まえ、どういった患者をどういった医療機関で受け入れることが適切かの検討を進めてほしい。




こうした意見を踏まえて、入院・外来医療分科会で改めて「深掘りの分析・議論」を行うと同時に、中医協総会で今後本格化する個別具体的な論議も進められていくでしょう。