2019.12.22

令和2年度改定、重点課題は働き方改革

12月17日、令和2年度診療報酬改定の改定率が
正式に決定しました。


診療報酬本体については、
0.55%のプラス改定となります。
このうち0.47%分が「通常の本体改定」分で、
0.08%が「医師の働き方改革への特例対応」
分となります。


一方、薬価についてはマイナス0.99%、
医療材料についてはマイナス0.02%となり、
ネット(全体)ではマイナス0.46%という
改定率になりました。


今回はその診療報酬改定の方向性について
一緒に考えていきたいと思います。



■前提にある三位一体改革


厚生労働省は2019年4月、
2040年を展望した医療提供体制の構築にむけて
「2025年までに着手すべきこと」として、
基本方針を3つ示しました。


それは、
①地域医療構想の実現等
②医師・医療従事者の働き方改革の推進
③実効性のある医師偏在対策の着実な推進
の3つになります。


厚生労働省はこの3つを三位一体で
推進してくことを強調しています。


令和2年度診療報酬改定も
この三位一体改革を推進していくための
内容となっているといっても
過言ではありません。


今回の改定を把握するためには、
この三位一体改革が前提にあるということを
まずは押さえておくことが大切だといえます。


■4つの方向性決定、
重点課題は働き方改革の推進



令和2年度診療報酬改定の基本方針が
決定されました。


基本方針は、
【1】改定に当たっての基本認識、
【2】改定の基本的視点と具体的方向性
の2部構成になっています。


【1】では、
健康寿命の延伸、
人生100年時代に向けた「全社会型社会保障」の実現、
患者・国民に身近は医療の実現、どこに住んでいても
適切な医療を安心して受けられる社会の実現、
医師等の働き方改革の推進を担保する必要がある
とした上で、

これを実現するためには
社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、
経済・財政との調和が極めて重要であること
を強調しています。


また改定の基本的視点と具体的方向性では、
4つの視点・方向性が示されています。


その中で、「医療従事者の負担軽減、
医師等の働き方改革の推進」を改定の【重点課題】
として据えられています。


具体的な例示項目として、
医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を
改善する取組の評価、
地域医療の確保を図る観点から早急に対応が
必要な救急医療体制等の評価、
業務の効率化に資するICTの利活用推進
などが示されています。


こういった内容を受けて、
次回の改定では医療従事者の負担軽減のため
の具体的な取組みや医師などの労働環境改善
のための具体的な計画などが、
診療報酬の算定要件に加えてはどうか
といった議論がなされています。


■医師の働き方改革、
2024年4月から適用



医師への働き方改革は、
簡単にいうと医師の時間外労働に対して
上限規制が設けられることです。


一般企業などでは2019年4月より順次施行
となっていますが、医師に対しては医師の
診療業務の特殊性を考慮した上で
2024年4月からの適用となっています。


2024年4月からは、
すべての勤務医に対して、罰則付きの
新たな時間外労働上限(原則960時間以内、
救急科や研修医などでは厳格な要件の下で
1860時間以内)が適用されることになります。


医師の働き方改革に関する検討会の資料によると、
現状では約1割(約2万人)が時間外労働
1860時間以上であり、これを2024年の5年間で
ゼロにもっていかなければならないこと
になります。


これは非常に大きなことです。


罰則がつくということもそうですが、
それ以上に医師の不足・偏在地域などにおいては、
地域の医療提供体制を揺るがしかねない問題です。


こういった点からも、
地域医療構想の実現による効率的な
医療提供や医師の偏在対策の推進など
三位一体での推進が必要になってくる
といえます。


次回の診療報酬改定の具体的な議論は
これからになります。


全体の方向性を把握して
中医協などの議論を読み込むことで
診療報酬改定の理解が深まることに
繋がります。


今後の動向に注視していたいところです。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。