先日2月7日に、2020年度診療報酬改定の答申が
公表され、改定の全容が明らかになりました。
<個別改定項目の詳細は
こちらになります。>
今回の改定では、従来から議論されていたとおり
医師や医療従事者等の働き方改革が
重点課題として据え置かれています。
特に、
救急搬送受入れ件数2000件以上などの病院では、
地域医療体制確保加算(入院初日に限り520点)が
新設されました。
また、救急搬送受入れ件数1000件以上では
救急搬送看護体制加算1(400点)で評価で
評価されるようになりました。
この加算の意図としては、
こうした新点数や新加算等を算定することで
救急医の確保や看護師等へのタスク・シフティングなど
を促進する原資として活用し、2024年4月以降の
働き方改革への対応を期待するものとなります。
■今改定をきっかけに今回は特に、
救急医療の実績がある医療機関に対して
働き方改革への手厚い評価がされています。
では、そうでない医療機関では
働き方改革を推進しなくていいのかというと
もちろんそんなことはありません。
医師以外の医療従事者に対しては
昨年4月から働き方改革は適用されており
そこへの対応が求められています。
また職員の満足度や採用・リテンション
といった点からも働き方改革の一環として
業務改善や効率化を図っていくことは
とても大切だといえます。
これまで働き方改革に本腰を
入れきれていなかった医療機関においても
今改定をきっかけにして取り組んでみては
いかがでしょうか。
■業務改善・効率化のための視点では、業務改善・効率化を図るためには
どうすればよいでしょうか?
よくコンサルティングの際に
業務改善・効率化のための方法として
特別な秘策を期待されることもありますが
そのようなものはなかなかないのが実情です。
理想(目的・目標)を掲げて
そこに向かって、何をしていけばいいのか
現場の皆さんと対話を繰り返しながら
試行錯誤していくことが遠回りのようで
最も実効性の高い案が出てくると実感しています。
ここでは、その中でも外せない視点として
3つほど挙げさせていただきます。
①業務目的の確認よくあるのですが、
何のためにやっている業務なのか不明確な
ものはないでしょうか。
過去の前任者から引き継がれている業務で
なんとなく継続してしまっているなど、
よくあるケースです。
必要だと思っていた業務が目的を確認すると、
意外に不必要だったり、もっと簡単にできたり
または他の部署でも同じことをやっていたりする
ことが往々にしてあります。
②しないことを決める重要度がそこまでない業務であれば、
思い切って「手放す/手離す」勇気も必要です。
組織レベルでも個人レベルでもいえることですが
業務の効率化をする上で、
「今の業務をどうやって効率化するのか」を
足し算の発想で考えている場合が多いです。
真の意味で効率的に仕事をするためには、
「しないこと」を決め、時間にも少し余裕を
持たせることも大切です
③システム・ITへの代替可能性の検討標純化できる業務であれば
システムやITに任せてしまった方が
いいですよね。
最近では、様々なRPA
(ロボティック・プロセス・オートメーション)
が開発されてきています。
ただRPAも万能ではありません。
特に医療事務の一部自動化などで
RPAが導入されていることがありますが
導入する前に業務の洗い出しや標準化を
実施することが必要となります。
つまりは、システムを導入する前に
上記①や②を実施をする必要があると
いうことです。
その他、最近では
オンラインツールやアプリなども
開発されていますので
様々な業界からの情報にも
アンテナを張っておくことが
大切といえます。
ぜひ今回の改定をきっかけに
業務改善・効率化に本腰を入れてみては
いかがでしょうか。
---------------------------------------
◆筆者プロフィール
---------------------------------------森田仁計(もりた よしかず)医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。