厚生労働省は3月5日、2020年度診療報酬に関する
関係告示の交付・通知の発出が行われました。
新型コロナウィルス感染の影響で
各地域の説明会は中止となりましたが
YouTubeでのオンライン説明付きとなりました。
拝見させていただきましたが
繰り返し見れるので便利ですし、
ICTの活用という点では
このような流れは非常に好ましいと
個人的には思います。
ぜひ次回以降も続けて頂きたいですね。
さて、今回のコラムでは
クリニックの集患という視点から
診療報酬改定を見ていきたいと思います。
■これからのクリニックの増患対策は病診連携!?
医療における地域連携は
言うまでもなく、かなり重要されています。
特に病院経営においては
地域連携はもはや経営の要といっても
過言ではないかと思います。
一方で、クリニックではどうかというと
地域連携は必要だと言われながら
現実的にはそこまで進んでいないのが
現状ではないでしょうか。
しかし、
今回の改定にもありましたが
紹介状なしで病院を受診した際の
定額負担の義務化の対象は
どんどん広がっています。
全世代型社会保障検討会議では
200床以上の一般病院も対象にすることが
検討されています。
つまりは、病院の外来患者は
地域の200床未満の病院やクリニックへ
移行していくという流れが
徐々につくられていっています。
集患に苦しんでいるクリニックにとって
この流れは1つのチャンスであり
病院との連携を推進することで
「患者が増える」可能性があります。
2020年度診療報酬改定においても
病院とクリニックとの連携を推進する
ような項目が新設されていますので
今回はその一部をご紹介していきます。
■地域連携の推進のための診療報酬
・電話等による再診時の診療情報提供の評価
電話等による再診の際に、救急医療機関の受診を指示し、
受診先の医療機関に対して必要な情報提供を行った
場合について、診療情報提供料が算定可能になりました。
クリニックの収益になりますし
病院にとっては、入院患者を紹介してもらえる
ことになりますので、とてもメリットがありますよね。
・外来栄養食事指導料の見直し
クリニックにおける外来栄養食事指導料について
他の保険医療機関や栄養ケア・ステーションの
管理栄養士が栄養指導を行った場合でも算定可能となりました。
病診連携のきっかけとして、
活用できるかと思います。
・遠隔連携診療料の新設
一部の専門性の高い疾患に限られますが
かかりつけ医のもとで、患者との事前の十分な情報共有の上で
遠隔地の専門医師と情報通信機器を用いて診療を行った場合に
診療報酬が算定できるようになりました。
・機能強化加算の情報提供に係る要件の見直し
院内に掲示する事項として、
「必要に応じて、専門医、専門医療機関に紹介すること」
が追加されました。
こういった院内掲示をすることを理由に、
病院へ挨拶へ行くなどといったきっかけにも
活用したりもできるのではないでしょうか。
などなど
このように、病院連携のきっかけをつくる
(挨拶に行く理由となる)診療報酬は
今回の改定で多く盛り込まれています。
1つ1つの診療報酬では、
大きな収益向上には繋がらないかもしれませんが
こういった診療報酬を活用することで
病院とのパイプが太くなり、
日常的に紹介患者がやり取りされるような
関係がつくられるのではないかと考えます。
今回の改定を機に、病診連携を本格的に
スタートさせてもいいでのはないでしょうか。
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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。