2020.05.15

アフターコロナにおけるクリニック経営を考える

新型コロナウイルス感染拡大を受け、感染患者もしくは疑いのある患者を受入れる病院が大変厳しい運営状況にあることはメディアなどでもよく報道されています。

一方で、コロナ感染者を受け入れていない(医療機能や地域医療の役割としてそうでない)病院はどうなのかというと、地域住民の感染防止のための診療抑制により外来患者が激減したり、また少しでも発熱がある患者の紹介などは受入れに慎重になるなど、入院患者が減少している医療機関がほとんどです。

すでに今年は経営的には非常に厳しくなることが予想されています。

クリニックも同様かと思います。外来患者が減少している施設が多いようです。

そんな中、徐々にではありますが、感染者数も落ち着き、政府の緊急事態宣言が解除される方向性にあります。

では、解除されれば、患者はコロナ前に戻るのでしょうか?

おそらくそんな事はないと考えられます。

政府から新しい生活様式が提示されたように、われわれの生活スタイルを変えていくことが求められています。

それに伴い、医療機関もその変化に対応していかざる得ないことが想定されますので、今からアフターコロナに備えて、仮説を立てておくことは大切であると考えます。

■新しい生活様式への対応必須

前述しましたが、緊急事態宣言解除後はこれまで通りの生活に戻っていいのかというと、どうやらそうではないようですね。政府から新しい生活様式が提示されました。

医療機関でもその新しい生活様式を踏まえた対応をしていく必要があります。

今回は主にクリニックに焦点をあててみたいと思います。

「3密を避ける」、これは変わらずに続くと想定されます。

そうすると、1番危惧されるのは外来の待合室です。

特に整形外科などの多くの高齢者が集まる場所は感染の心配があります。患者さんと患者さんとの距離や換気などにも、より一層気を配る必要が出てきます。

一般の内科などでは、3密を避けるために予約診療やオンライン診療などを積極的に活用せざる得ない状況になるとも想定されます。

他にも、会計の待ち時間や金銭を手渡しする際の接触を避けるために、自動精算機の導入やキャッシュレス化などが促進されるかもしれません。

またもっと危惧されるのが、採用面です。

ただでさえ採用が難しい中、今回のコロナにより就職先として医療機関を避けるという考えも出てくるかもしれません。特に受付などの求職者は、わざわざ医療機関を選ばなくてもいいわけです。

そういった点ですと、自動受付機やペッパーくんなどのロボットが活躍する日も近いかもしれません。

また開業地の考え方も変わってくるかもしれません。

今回のコロナにより、多くの企業でテレワークが定着した場合、これまでオフィスで働くビジネスマンをターゲットとしていたオフィス街のクリニックは患者減になる可能性があります。

一方で、住宅街のクリニックは患者が増えるなど患者が分散する現象が起きるかもしれません。

このような可能性を考えると、新規開業地は駅前などだけでなく住宅街を積極的に選ぶといった医師も出てくるかもしれません。

このようにアフターコロナにおける仮説は色々とたてられます。自院ではどのような可能性があり得るか、今の内から頭の隅で考えておくことは大切と考えます。

また今回のこのような変化は、「コロナにより急にやってきた」というイメージがありますが、コロナがなくても、いずれ近いうちに、われわれが対応しなければならない変化だと個人的には考えています。

ですので、ある意味アフターコロナは前向きに捉えて、対応していくことが大切ではないかと思うのです。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。