2020.07.27

クリニック経営で抑えておくべき2つの数字

前回のコラムでは、「クリニック集患・増患における口コミ」について、書かせていただきました。今回もクリニック経営関連ということで、開業後、クリニック経営をするうえで特にチェックしておくべき2つのポイントについて解説させていただきます。

結論からいいますと、その2つとは、「キャッシュフロー」と「来院頻度」です。

クリニック経営を安定化させるためには、この2つの推移が非常に大切です。ですので、毎月欠かさずチェックを行い、その推移によっては対策を練っていく必要があります。


■ 利益とキャッシュフローの差は?

「黒字倒産」という言葉をご存知でしょうか?
利益が出ているにもかかわらず、事業が破綻してしまう状態をいいます。

ではなぜそのようなことが起こるのでしょうか?
その要因は、「資金繰り」=「キャッシュフロー」です。

どんなに売上が上がって利益が出ていようとも、キャッシュフローが回っていないと事業は破綻します。逆に、もし収支がマイナスで赤字が続いても、手元にキャッシュが確保できれば事業を継続することは可能です。

そのため経営にあたっては、利益とキャッシュフローの関係性を十分理解しておくことが重要となってきます。

では、そのような事態を生じる要因はどこにあるのでしょうか?

主には、「医業未収金」と「設備投資や未使用在庫」の2つです。

クリニックにおいては保険収入が収入源の主となりますが、この診療報酬は診療から入金まで最長で約3ヶ月のタイムラグがあります。つまり売上として計上されていても、キャッシュとして入金されるのは3ヶ月後(窓口収入以外)になります。つまりは、その間に生ずる様々なコストは窓口収入を含む手元資金で賄わなければなりません。

また設備投資については、毎月の費用としては減価償却費として耐用年数に合わせて按分され費用計上されます。しかしながら、実際の支払い(お金が出ていく)タイミングは、それとは異なるわけです。未使用在庫も同様に、購入して対価を支払っても、資産として計上されますが費用には計上されません。

これら2つの要因により、利益とキャッシュフローに差が生じるわけです。

特に開業当初は、要注意です。設備資金の返済金額やリースの利率などは気にするものの、返済タイミングや支払期間等を考慮していないケースも往々にしてみられます。そうすると、利益は出ているものの、開業当初のキャッシュフローが一気に悪化して、いきなり運営がピンチという事態も考えられます。

ですので、クリニックを経営される先生方には、利益も大事ですが日々のキャッシュフローの状況を把握することが何よりも大切です。

ただ診療で忙しい院長がそれらをすべて把握しておくことはとても難しいかもしれません。そういった場合には、顧問税理士や外部パートナーに毎月資金繰り表を説明してもらうなどしながら、自らの目でキャッシュフローを確認していくことをおすすめします。


■ 患者数を安定させるためには来院頻度

クリニック経営でよく使われる公式として、以下のものがあります。

「年間医業収入」 = 「新規患者数」 × 「診療単価」 × 「来院頻度」

つまり医業収入を増やすためには、上の3つの項目の数字を上げていけばいいことになります。

この3つのうち、特に見落としがちで、重要視していただきたいのが、「来院頻度」です。その理由は主に2つあります。

①クリニックへのファン度合いがわかる
繰り返して来院してくれるということは、患者さんがクリニックのファンになってくれたということになります。一方で、病気やケガなどが治っていないのに通院をやめてしまう患者さんは、来院しなくなる理由はさまざまありますが、その背景には医師の診察や医療スタッフの応対など、サービスへの不満がある場合も少なくありません(診療科や疾患により異なる場合はありますが)。その要因を把握し修正することで患者数の安定化につながります。患者数を安定させるためには、地域住民のクリニックへのファン度合いをチェックすることは大切です。

②集患のためのコストが小さい
まだ見ぬ新しい患者さんをクリニックに来院してもらうためには、看板や広告などの費用がかかってきます。しかもその効果の検証もしづらいのが実際のところではないでしょうか。一方で1度来院してくださった患者さんであれば、アプローチ対象も明確ですし集患にかかるコストが小さくて済むのです。そういった面でも患者さんごとの適正来院頻度を把握して、必要に応じてケアしてあげることは経営面で費用対効果は高いといえます。

まずは直近3ヶ月から6ヶ月のカルテをチェックし、継続的に通院していたのに、急に来院しなくなった患者さんがどれだけいるか、抽出してみると、患者さんの来院頻度の実態をつかむことができます。

今回は、「キャッシュフロー」と「来院頻度」というクリニック経営でチェックすべき2つのポイントについてお伝えさせていただきました。まだチェックできていないと思われる院長先生は、ぜひこれから定期的にチェックされることを強くおすすめします。