2021.02.17

働き方改革でも活かせるパフォーマンス高める「引き算思考」


パフォーマンスを高めるための方程式をご存知でしょうか?

世の中にはいろいろな方程式がありますが、個人や組織、チームのパフォーマンスを高めるための視点の1つとして、次のようなものがあります。

パフォーマンスの方程式:P=P-I

最初のPはPerformanceのPで、成果や実績、結果を意味します。そして次のPはPotential、その組織や個人が持っている能力のことです。そしてIがImpedimentです。日本語に訳すと、障害や妨害となります。つまり、「成果=能力-障害」で表現することができます。

では、成果Pを高めるためには、どうすれば良いでしょうか?方法は3つあります。

①:Potentialを引き上げる
②:Impedimentを減らす
③:①と②を同時にやる

では、この3つの中で最初に取り組むべきことは何でしょうか?

それは、「②:Impedimentを減らす」ことです。

もちろん、「①:Potentialを引き上げる」も有効な手段にはなりますが、往々にして時間やお金がかかるケースが多いです。

メーカー会社の例を出すと、製造ラインを増やしたり、人員を増員したりするといったことが、①に当てはまります。今ないものを加えるという「足し算思考」になりがちなので、お金や時間がかかります。

では「②:Impedimentを減らす」はどうでしょうか?

こちらは逆に、今あるものを減らす、小さくする、取り除くという「引き算思考」になりますので、取組みやすいといえます。

例えば、あまり有効でない業務や仕事上の手続きを、これまでの慣習ということで何となく続けてしまっていないでしょうか。「②:Impedimentを減らす」とは、そういったことを見直すということです。

先程の方程式からもわかるように、障害となるものを取り除いてあげることで、能力は同じでも、パフォーマンスを高めることができます。

■医療機関の働き方改革でも同じ

医療機関の働き方改革でもこの考え方は活かせます。

たとえば、病棟では看護師不足で新入院が取れずに困っているにもかかわらず、外来では看護師がカルテ出しや事務作業に追われて忙しくしていることが往々にしてあります。本来であれば、外来看護師のカルテ出しや事務作業を最小限にし、病棟業務のヘルプが必要なときには、外来から病棟に上がってもらえればいいはずです。しかし、外来看護師がカルテ出しや事務作業をやるという「昔からの慣習」が障害となって、それが実現できないでいるのです。これはとてももったいないことです。

また現在、医療従事者の働き方改革でタスクシフトが注目されていますが、タスクシフトといっても、ただの業務の押し付け合いになってしまっているといった話をよく聞きます。今ある業務のただ割り振りを変えるだけでは、どこかに負担が偏るだけで、組織としては健全とはいえません。まずは今ある業務を見直し、無駄(障害)を除いてあげる。その上で、タスクシフトを行うことが大切といえます。

優秀なリーダーは、スタッフや部下の能力を高めることだけでなく、スタッフや部下が力を発揮しやすいような環境を整えることにも心掛けています。これも「Impedimentを減らす」というアプローチと同じですよね。

■まとめ

どうしても私たちは、成果を高めるためには何かをプラスしようという「足し算思考」に陥りがちです(これも1つの障害ですね)。それだけではなく、「Impedimentを減らす」といったような「引き算思考」のアプローチから入った方が、効果的な解決策につながることもありますので、バランスよく使っていきたいところですね。

また組織・個人問わず、過去の成功体験やこれまでの習慣、人間関係やコミュニケーション、道具やツール、時間の使い方、運用、嗜好、価値観、思考パターンなどが障害となることが多いですので、一度、「引き算思考」そのあたりの見直しをしてみるといいかもしれません。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社 認定医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。