2021.03.17

外来収入をチャンクダウンするとみえてくる改善策

「チャンクダウン」という言葉をご存知でしょうか。チャンクとはもともと「塊」を意味する言葉です。そしてチャンクダウンとは、特定のチャンクである「情報の塊」からさらに細かい具体的なチャンクへと掘り下げて考えることをいいます。課題解決などでよく用いられる方法で、様々なことに応用ができます。


たとえば、クリニックの外来収入増加のための施策について考えてみましょう。


クリニックの外来収入は、次のような算式で表現できます。

外来収入 = 新規患者数 × 患者単価 × 来院頻度


外来収入を上げるにはどうすればいいでしょうか?答えとしては簡単ですよね、新規患者数、患者単価、来院頻度のいずれか(もしくは全部)を向上させればよいということになります。


「新規患者数」を向上させるためにはどんな方策が考えられるでしょうか。まず決めなければならないことは、「どんな患者さんを集めたいか」ということです。そしてその患者さんが通院を必要としたときに、どのような手順でクリニックを探すのかを考える必要があります。


最近では、多くの患者さんはスマートフォンで検索してクリニックを見つけることがほとんどです。例としては、「○○駅 内科クリニック」「○○市 整形外科」などと検索するわけです。その際に1ページ目の上位に出てくるクリニックが、選ばれる可能性が高いのはいうまでもありません。


つまり新規患者の集患対策について考えてみた場合に、クリニックのホームページは、①スマホ対応である②上位表示されている③平均点以上の好印象を与えられるといったことが挙げられます。未だにホームページなどは不要というお考えの先生もいらっしゃいますが、患者さんのクリニックを見つけるまでの行動を考えると、ホームページは必須ということがいえると思います。


また最近では、コロナ対策をきっちり行っていることを掲載することも大切です。患者さんの不安を和らげて、通院のハードルを下げることに繋がります。


つぎに「患者単価」についてです。医療機関に関していえば、診療報酬により大部分が設定されてしまっているので、大幅にアップさせることは制度上、なかなか難しいかもしれません。必要な指導や検査などを適宜行い、平均単価を適切にすることといったことが一般的と思われます。あえて大きく患者単価を向上させる策があるとすると、それは在宅医療に対応することです。在宅医療における医業収入は、月2回の訪問で1人あたり約5万円以上となります。


最後に「来院頻度」についてです。将来的な人口減少が見込まれている中、この「来院頻度」はもっとも着目していきたい指標といえます。来院頻度が高ければ高いほど、患者さんから「かかりつけ医」として認識してもらっているということもいえます。


来院頻度に関してのターゲットは、新規患者数の場合とは違い、すでに「来院した患者さん」になります。患者さんの連絡先やメールアドレスなどを把握することも可能になりますので、メルマガやSNSによる定期的な情報発信、必要に応じて再来を促すといったプッシュ型の対策もうてますので、効果も高いといえます。


このようにクリニックの外来収入を分解することで、収入増加策をいくつか考えることができます。単純に外来収入を2倍にするのは気の遠い話に感じますが、たとえば「新規患者数」「患者単価」「来院頻度」を2割ずつ上げようと考えてみてください。そうすると、1.2の3乗で1.728となり、外来収入2倍に近づくことができます。
各項目を2割ずつであれば、簡単ではないですが、できなくもないと感じられる先生もいるのではないかと思います。


まずは自院の外来収入を分解して前年実績などと比較してみてください。低迷してしまっている項目はどれか、また改善余地のある項目はどれか、伸ばしたい項目はどれかなど、分解して精査することで、具体的な改善策が見えてくるはずです。ぜひ試してみてください。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社 認定医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。