2021.07.13

医師の働き方改革、時短計画が努力義務になってどう変わる?医療機関の対応について

7月1日に「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が開催されました。検討会では、医師労働時間短縮計画(以下、時短計画)について、2023年度末までの作成義務だったものが努力義務となった点や、時短計画のひな形などについて議論・検討されています。今回はそのポイントについて、一部ご紹介していきます。

■時短計画、義務から努力義務に変更
2024年4月から、すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制が適用されます。最終的には、いわゆるA水準といわれる原則、年間960時間以下ですべての勤務医に働いていただくことを目指していますが、地域医療や救急医療の確保、医師の偏在などの点からA水準を超える水準での働き方(B、C水準)も当面認められています。

B、C水準の適用を受けるためには、「時短計画を作成し、都道府県に提出し、第三者評価を受ける」必要があります。つまり、2024年度からB、C水準の適用を受けためには、2023年度末までに時短計画を作成し評価を受け、都道府県より指定されなければなりません。

そのため、「時間外労働が960時間超となる勤務医がいる医療機関」について2023年度末までの作成を「義務づける」方向で検討が進められてきました。しかし法案作成段階で、「時間外労働が960時間超となる勤務医がいる医療機関すべてに義務化することは法技術的に困難である」と判断され、時短計画は2023年度末までの「努力義務」に変更されました。

■「努力義務」への変更による影響は?
この変更によるどのような影響があるでしょうか。努力義務になったことで医療機関としては、少しゆったり構えられるかというとそういうわけでもなさそうです。B、C水準の指定を受けるためには、2023年末までに第三者評価を受ける必要があることは変わりありませんし、そのために時短計画の作成が必要であることももちろん変わりはありません。

また2023年度末までに時間外を960時間以下におさえる取組みをしている医療機関においても、目論見通りに進めばよいのですが、その通りに進まなかった場合、慌てて時短計画を作成し評価を受けるというのは、現実的ではありません。あらゆる事態を想定すると、変更前と同様に、早めに時短計画の作成を進めておくことが安心といえます。

今回、その時短計画のひな型/作成例についてもあらためて公開されました。「2023年度末までの計画」と「2024年度以降の計画」の2通りの事例が以下のように公開されています。



■勤務時間の把握をどう調査するか?
時短計画を作成するにしても、まずは現状の勤務医がどのくらい時間外などを行っているか、把握することが重要となってきます。今回の検討会では、その調査方法についても公開されていますので、ポイントだけシェアいたします。

・調査期間:祝日等がない標準的な1 週間
1ヶ月、半年とある程度の期間で医師の勤務実態を把握することが望ましいが、医師への負担、分析にかかる労力等を考えると非現実的である。

・調査項目


詳細については、「医師の勤務実態把握マニュアル」が公開されていますので、一度ご確認いただくことをおすすめします。


■おわりに
医師の働き方改革については、医療機関における自院での努力ももちろん必要ですが、それだけでなく、地域医療構想や医師の偏在対策などの影響も多分にあると想定します。さらには、医療機関のかかり方における国民の意識変革など、あらゆるものが一体となり実現できるものといえるでしょう。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社 認定医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。