2021.11.19

地ケア病棟、「3つの役割」が評価の論点に

令和4年度の次期診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会では議論が加速しています。11月12日の中医協総会では、入院(その3)として、回復期入院医療についても議論されました。その中で議論されている地域包括ケア病棟の論点について、一部をご紹介していきます。


■地ケア病棟、3つの役割の偏り解消されず
前回の改定で、許可病床数400床以上の病院に設置した地域包括ケア病棟について、入棟患者に占める「自院の一般病棟から転棟した患者」割合が6割以上の場合には入院料を10%減額するという厳しい仕組みが設けられました。これは、「自宅等からの入棟が全くなく、自院からの急性期病棟からの転棟に偏っている地域包括ケア病棟がある」ことを問題視しての改定内容となりました。

しかし改定後の状況をみても、依然として「自院からの急性期病棟からの転棟に偏っている地域包括ケア病棟」の存在が見受けられています。





さらに、「自院の一般病棟からの転棟が8割以上」の病棟は、「自宅等から入棟した割合が8割以上」の病棟に比べて、患者の状態が安定しており、医療・看護提供頻度が少なく、医療資源投入量も小さいということが報告されています。




これらの内容を踏まえて、

●「自宅等から全く入棟しないパターン」、「自宅等のみから入棟しているというパターン」の地域包括ケア病棟の存在も示され、 地域包括ケア病棟の3つの役割のバランスが様々

●地域包括ケア病棟に求められる3つの役割について、病床規模や病床種別による患者の背景・地域における運用の在り方等や病床種別による患者の背景・地域における運用の在り方等が異なることも踏まえつつ、 役割の一部しか担えていない場合の評価について他の場合と分けて考えることなど、地域包括ケア病棟の機能の差を踏まえた評価について検討を行うべき


という指摘がされています。

■評価のメリハリをつけるべき
地域包括ケア病棟は(1)急性期後の患者を受け入れるポストアキュート機能、(2)自宅等からの軽度急性期の患者を受け入れるサブアキュート機能、(3)在宅復帰機能という3つの機能を併せ持つ病棟等として新設されました。

しかし前述のようにこの3つの役割がバランスよく提供されていない病棟も散見されています。そこで今回の改定の論点として、3つの役割を果たしている病棟とそうでない病棟で評価のメリハリをつけるべきとの議論がされています。

しかし診療側としては、近隣に在支診や在支病があるか否かなど地域ごとの医療提供体制の違いによって、受け入れ件数や自院からの転棟件数など3つの役割には濃淡が生じるとして、満遍なく3つの役割を果たすのが難しいケースがあると指摘しています。


自院の急性期病棟からの転棟のみで運営している度が過ぎた偏りは解消していく必要はありますが、地域によりその病院に求められる機能はそれぞれ違ってくる中で、すべての地域包括ケア病棟に3つの機能をバランスよく提供することを求めることも少しハードルが高いと言わざるを得ません。今回の改定でどのような結論に着地するのか、もう少し詰めた議論が必要といえそうです。


---------------------------------------
◆筆者プロフィール
---------------------------------------
森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社 認定医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。