【回リハ・療養の2022診療報酬改定】 “質”の向上が一層求められる改定!?
前回のコラムでは、地域包括ケア病棟入院料の改定内容について、ご紹介させていただきました。本日は、回復期リハビリテーション病棟入院料(以下、回復期リハ)と療養病棟に関する主な改定内容についてご紹介していきます。
■回復期リハ1・3の要件に「第三者評価の導入」追加
復期リハについて、主な改定内容はつぎのとおりです。
①「回復期リハ5」の廃止、現行の「回復期リハ6」を新たな「回復期リハ5」に位置づけ(新規届出の場合は、算定期間は2年間に限る)
②重症患者割合の見直し
回復期リハ1・2:4割以上(現行3割)
回復期リハ3・4:3割以上(現行2割)
③回復期リハ1・3の施設基準に「日本医療機能評価機構等による第三者の評価を受けていることが望ましい」を追加
④「回復期リハビリテーションを要する状態」について、「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」を追加(算定上限90日以内)
⑤「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料」の新設
③については、特定機能病院の医療安全体制の質担保において第三者評価の承認が要件化されたのと同様に、回復期リハにおいても評価の質の担保のために第三者評価の導入が望ましいとしたものです。今回は「望ましい」ですが、そのつぎは「義務化」という流れも想定し、準備をしておく必要があるといえるでしょう。
■療養病棟における嚥下機能回復への取組みを評価
続いて、療養病棟入院基本料における主な改定内容はつぎのとおりです。
①療養病棟の経過措置の見直し
・設置期間を2年延長、2024年3月31日まで
・点数を療養2の85%から75%へ
②経過措置の療養病棟で疾患別リハを提供する場合には月1回以上のFIM測定を要件化(未実施の場合は、①疾患別リハの上限を1日2単位まで、②医療区分2の患者であっても医療区分1として算定)
③中心静脈栄養を実施している状態にある患者について、「摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制」を有していない場合は、 医療区分3ではなく医療区分2で算定
③の「摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制」について、今回の3月9日の答申で内容が明らかになりました。
次のいずれも満たしていること。
ア 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影を実施する体制を有していること。なお、当該検査等については、耳鼻咽喉科又はリハビリテーション科その他必要な診療科を標榜する他の保険医療機関との協力により確保することでも差し支えない。
イ 摂食機能療法を当該保険医療機関内で実施できること。
ウ 毎年7月において、療養病棟入院料を算定している患者のうち、中心静脈栄養を実施している患者の数、終了した患者の数、嚥下機能療法を実施した患者の数及びアの他の保険医療機関との協力による体制の確保の状況等を様式5の7を用いて届け出ること。
また③に関連する項目として、摂食嚥下支援加算について、中心静脈栄養や鼻腔栄養等を実施している患者の経口摂取回復に係る効果的な取組みを推進する観点から、名称、要件及び評価が見直されました。名称を【摂食嚥下機能回復体制加算】として、加算1~3に細分化されます。
摂食嚥下機能回復体制加算3については、療養病棟入院料1又は2を算定する病棟を有する病院を対象とした加算となっています。
これらなどへの対応により療養病棟においても積極的に嚥下機能回復が取り組まれることが期待されているといえます。
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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社 認定登録医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。