コラム
COLUMN

看護師処遇改善の議論決着、10月から看護職員処遇改善評価料がスタート

政府の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」の一環として看護職員の処遇改善についての議論が、これまで継続的に行われてきました。今回その議論の着地点として、「看護職員処遇改善評価料」が新設されました。

看護職員の処遇改善については、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、段階的に収入を3%程度引き上げることが示されていました。まずはその第1段階として、2022年2月から「看護職員等処遇改善事業」により、一定の役割を担う医療機関については2022年2月~ 9月の間で、国の補助金による収入の1%程度(月額4000円)の引上げが行われました。

今回はその第2段階として、診療報酬による2022年10月以降の看護職員の処遇改善ということで、「看護職員処遇改善評価料」が新設された形となります。また当該内容は、2022年度の診療報酬改定のプラス0.43%の改定率のうち、看護職員の処遇改善のための特例的な対応として盛り込まれていたプラス0.2%の部分になります。

基本的には、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、施設基準に適合した届出を行った医療機関で、患者の入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料を算定している場合に、該当する点数が1日につき算定でき数区分および設定は図表1に示す通り、1~165まで細分化されており、評価料1の1点から評価料165の340点まで設定で、細分化した設定から各医療機関の看護職員の賃上げのための財源を、診療報酬により過不足なく配分する仕組みとなっています。厚生労働省で詳細を詰めた上で、10月からの施行となる予定です。



「令和4年度診療報酬改定の概要看護における処遇改善」(令和4年9月5日厚生労働省保険局医療課)より抜粋


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社 認定登録医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。