新型コロナの疑い患者への外来診療の特例、要件などを見直し11月以降も延長
■冬のコロナ・インフル同時流行に備えて
新型コロナの疑い患者を診療した場合、いわゆる発熱外来において、院内トリアージ実施料300点に加え、二類感染症患者入院診療加算250点を算定できる臨時的な特例措置が講じられていましたが、この特例措置は2022年10月末日までとされていました。
しかしこの冬のコロナとインフルエンザの同時流行を見据え、要件などを見直したうえで当該特例措置が11月以降も延長することが「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その79)」で事務連絡されました。
■主な見直しの内容
今回の主な見直し内容として、対象となる医療機関の要件が厳格化されました。具体的には、①新たに発熱外来を開始した場合、②既存の発熱外来を拡充した場合(対応時間、対象者の拡充)③既存の発熱外来の体制を維持する医療機関であって、1週間に計8枠以上対応している場合のいずれかに該当することが必要となります。該当する医療機関については、11月から2023年2月末までは引き続き250点を、2023年3月は147点を、院内トリアージ実施料300点に加えて算定できることができます。
対象となる医療機関の要件②の「対応時間の拡充」とは、11月以降※、診療・検査対応時間が、10月13日時点の公表時間と比べ、一週間あたり30 分以上拡充している場合を指します。同様に「対象者の拡充」とは、11月以降※、新たに、診療対象患者について、過去に通院歴の無い患者にも拡充している場合を指します。(※2022年3月については「11月以降」は「3月以降」と読み替える)
◎11月以降の新型コロナの疑い患者への外来診療の特例
出典:新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その79)をもとに加工・作成
算定要件としてはこれまで通り、
「診療・検査医療機関」として都道府県から指定され、その旨が公表されている医療機関において、
その診療・検査対応時間内に、新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者に対し、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合であって、患者の傷病について
医学的に初診といわれる診療行為があるときに算定ができます。
なお、算定開始は、該当することとなった日の属する週の初日(月曜日)から、当該加算を算定することができます。
またこのほかにも、「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その79)」では、
自宅・宿泊療養中の新型コロナ患者のうち、重症化リスクの高い人に対して、電話等を用いて診療した場合の特例的評価として、二類感染症患者入院診療加算250点に加え、147点を更に算定できる特例措置も10月末までであったが、11月以降も要件等を一部見直した上で延長されることが通知されています。
詳しくは、こちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001005681.pdf
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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社 認定登録医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。