コラム
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2023年8月病院報告 患者数について、コロナ禍前(2019年7月末)との比較で入院7.8%減、外来5.1%減—厚生労働省 病院報告

2023年8月病院報告 患者数について、コロナ禍前(2019年7月末)との比較で入院7.8%減、外来5.1%減—厚生労働省 病院報告

11月17日の厚生労働省の公表した2023年8月分病院報告では、
・2023年8月末の患者数、コロナ禍前の2019年7月末比で入院7.8%減、外来5.1%減
・病院の平均在院日数、「短縮」と「延伸」を繰り返す混乱がいまだ継続
・一般病床の利用率、コロナ感染症の影響で2023年8月末は72.7%と依然として低い水準

であることがわかりました。

本年(2023年)7月末における1日平均患者数は、病院全体で、入院:114万1213人、外来:124万897人となりました。
前年同期2022年7月末と比べると、入院では3.0%の増加、外来では4.6%の減少となりました。外来の減少は今夏の新型コロナウイルス感染症第9波の影響が考えられます。
また、 2021年8月末と比べると、入院では0.6%の減少、外来では0.9%の減少。 2020年8月末と比べると、入院では1.4%の減少、外来では7.5%の増加となりました。
さらに、コロナ感染症の影響がない2019年8月末と比較してみると、入院では7.8%減、外来では5.1%減となっています。

入院・外来ともにコロナ禍前の患者数には、いまだ戻っていないことが確認できます。入院についてはコロナ重症患者等をすぐさま受け入れられるような空床(即応病床)の確保、コロナ重症患者に対応するための、一部病棟・病床閉鎖などが続いていることが、患者数が依然として戻らないことの要因であると考えられます。このため入院に関して、当面、患者減の傾向が継続すると考えられます。

〇医療法上の病床種別ごとの「入院患者数」と「過去の同月からの変化」
・一般病床:64万2419人(前年同月比9.1%増、2021年8月比4.0%増、2020年8月比2.3%増、2019年7月比6.0%減)
・療養病床:23万2374人(前年同月比0.4%減、2021年8月比4.9%減、2020年8月比6.5%減、2019年8月比14.1%減、ただし療養病床→介護医療院への移行なども加味して考えなければならない)
・精神病床:26万3628人(前年同月比0.6%減、2021年8月比2.9%減、2020年8月比4.9%減、2019年8月比6.9%減、ただし地域移行推進による減少なども加味して考えなければならない)
・結核病床:1194人(前年同月比8.9%増、2021年8月比0.8%減、2020年8月比16.1%減、2019年8月比21.4%減)
また、平均在院日数は、病院全体では25.6日となり、前月から0.4日の短縮となりました。
病床種別に見ると、
・一般病床:15.3日(前月から0.2日短縮)
・療養病床:119.5日(同7.1日短縮)
・精神病床:259.7日(同4.8日短縮)
・結核病床:29.5日(同8.0日短縮)
・感染症病床9.9日(同増減なし)

コロナ感染症の影響により、ある月に短縮すれば、翌月に延伸し、さらにその翌月には再び短縮するなどの状況が繰り返されており、依然として医療現場の混乱が続いていることがわかります。

さらに、月末病床利用率を見ると、病院全体では76.8%で、前年同期2022年8月末と比べて2.7ポイント上昇、コロナ感染症が本格化していた2021年8月末と比べて1.1ポイント上昇、2020年8月末と比べて0.9ポイント上昇でしたが、逆にコロナ禍前の2019年8月末と比較すると1.2ポイント低下となりました。

とくに急性期・高度急性期病床では、コロナ感染患者受け入れのために空床を確保しておくこと、コロナ感染症対応のために、一部病棟・病室を閉鎖し医療資源を集約化することなどが必要なことも手伝って病床利用率が下がっていると考えられます。これらの数字からもコロナ感染症流行前の状況には依然として戻っていないことがわかります。

〇病床種別の利用率
・一般病床:72.7%(前年同月比5.9ポイント上昇、2021年8月比4.2ポイント上昇、2020年8月比2.8ポイント上昇、2019年8月比0.4ポイント上昇)
・療養病床:84.4%(前年同月比1.3ポイント上昇、2021年8月比0.3ポイント低下、2020年7月比0.1ポイント低下、2019年7月比2.6ポイント低下)
・精神病床:82.1%(前年同月比0.4ポイント低下、2021年8月比1.3ポイント低下、2020年8月比2.9ポイント低下、2019年8月比3.9ポイント低下)
・結核病床:31.5%(前年同月比3.5ポイント上昇、2021年8月比1.4ポイント上昇、2020年8月比3.3ポイント低下、2019年8月比3.3ポイント低下)
・感染症病床:89.2%(前年同月比871.8ポイント低下、2021年8月比736.7ポイント低下、2020年8月比29.6ポイント低下)

このように、一般病床とりわけ急性期病床を中心に、コロナ感染症の重症患者が発生した場合に、すぐさま受け入れられるように空床にしておくことも求められているため、長期間で低い水準で推移していることがわかりました。