医療機関もICTへの対応は必須!?

前回のコラムで、2020年度診療報酬改定の
重点課題である働き方改革であることを
お伝えさせていただきました。


この働き方改革は改定の中で
色々な項目に盛り込まれています。


今回はその中でICTの活用について
触れていきたいと思います。


「ICTなんて、うちには関係ない!」と
思っている医療機関さんもいるかと
思いますが、これからの時代は
そうとも言っていられない可能性が大です!


まずは今回の改定において
ICTがどのように盛り込まれたか
チェックしておくことをおススメします。


ここでは今回の改定で見直された
ICT活用の内容について一部をご紹介します。


■情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進


カンファレンスなどについて、
前回の改定で「やむを得ない事情により
参加できない場合は、ビデオ通話などでも可」
となりました。


今回の改定では「やむを得ない事情」が
削除されました。


ですので、いつでもビデオ通話による
カンファレンスでOKとなりました。


これも働き方改革の1つといえます。


■情報通信機器による外来栄養食事指導


外来栄養食事指導料について、
これまでは対面でしか算定できなかったものが
2回目以降の栄養食事指導については
情報通信機器を用いて行うことも算定可となりました。


これは外来及び在宅における患者についても
継続的な栄養指導が必要であることを
強調しているともいえます。


また外来栄養指導については、今回の改定で
他の医療機関や栄養ケア・ステーションの
管理栄養士と連携しても算定可能となっていますので
クリニックなどでも算定ができる機会が増えると思われます。


■オンライン診療料の実施要件の見直し


オンライン診療料についても
これまでよりも算定しやすくなったといえます。


主な改定内容は次の3つです。

・事前の対面診療の期間を6月から3月に
・急変時の対応等については連携医療機関を記載
・対象疾患について、慢性頭痛患者を追加


■かかりつけ医と連携した遠隔医療


てんかんや指定難病の疑いがある患者について
かかりつけ医のもとで、遠隔地の医師が
情報通信機器を用いた診療を行う場合に
「遠隔連携診療料 500点」が新設されました。


1人の患者をかかりつけ医と専門医が
ICTを活用して連携して診療した際に
算定できるということです。


今回は対象疾患が絞られていますが
今後拡大する可能性も考えられます。


■ニコチン依存症管理料の見直し


ニコチン依存症管理料についても
2回目から4回目の診療については
情報通信機器を用いた診療でも
算定可能となりました。


また今回は、加熱式たばこの喫煙者も
対象となるよう要件が見直されました。


まだまだ他にも
在宅や服薬指導などにもICTの活用が
盛り込まれています。


2040年に向けて
働き手の減少は明らかですので
次回の改定では今回以上にICT活用は
盛り込まれていくと想定されます。


■ICTに対応していないと職員も集まれない!?


おそらくそんな時代も
すぐに訪れると思います。


ICT活用ができていて
業務効率化できている職場と
すべて紙ベースで非効率な職場では
前者が選ばれるのは容易に
想定ができますよね。


今回の改定内容すべてに
対応することはないと思います。


ですが、
「ICTは、うちには関係ない」と
いった前提ではなく
「何か取り入れられることはないかな?」
という前提で、今回の改定内容を
チェックしていただくことが
大切ではないでしょうか。

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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。