2020.06.26

2次補正予算成立、新型コロナウイルス感染症による医業経営の逼迫に支援策

新型コロナウイルス感染症の拡がりに伴い、様々な業界で働く人や生活者に影響を与えています。医療機関も同様で、今回の感染拡大は多くの病院やクリニックなどの経営を逼迫させています。そんな中、医療機関への支援内容なども盛り込まれた令和2年度第2次補正予算が6月12日の参院本会議で可決・成立しました。今回はその内容の概要をご紹介します。

■感染リスクを抱えて働く医療従事者への支援

今回の補正予算は、「①感染リスクを抱えながら医療を提供する医療従事者への支援」「②新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関への支援」「③地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援」「④万全な検査体制、ワクチン・治療薬の開発支援」の4つの内容で構成されています。

まずは、①感染リスクを抱えながら医療を提供する医療従事者への支援から見ていきます。この支援では、品薄で確保が困難となっているサージカルマスク、N95マスク、ガウン、フェイスシールド、消毒用エタノールなどを国で買い上げ、必要な医療機関等に優先配布を行うという物資的な支援のほかに、今回の補正予算では「患者と接する医療従事者等への慰労金の支給」という内容が盛り込まれました。支給額は1人あたり最大20万円となっています。また今回の慰労金については、実際に新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れていない病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所に勤務する職員に対しても1人あたり5万円の支給対象となっています。なお要件はありますが、医療従事者だけでなく患者と接する職員も支給対象となっています。

■空床1床あたり最大30.1万/日、重点医療機関などを支援

つぎに②新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関への支援についてです。こちらは新型コロナウイルス感染患者を受け入れているなどの重点医療機関に対する支援になります。

これまでに、2次補正とは別に重症・中等症の新型コロナ患者に対して、救急医療や集中治療室・ハイケアユニットなどでの管理を行った場合に算定できる診療報酬を平時の約3倍に引き上げたり、また医学的な見地から重症・中等症の新型コロナ患者の重症者の範囲が拡大されるなど、診療報酬の特例的な対応がおこなわれてきました。今回の補正予算では、重点医療機関などの病床確保や設備整備に対する支援が拡充・追加されました。

その他にも福祉医療機構の優遇融資が大幅に拡充されています。医業経営が逼迫している施設にとっては、非常にメリットのある制度体系となっていますので、活用されることをおすすめします。

■救急・周産期・小児医療機関への院内感染防止支援

続いては、③地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援についてです。こちらは、「新型コロナ疑い患者の診療を行う救急・周産期・小児医療機関」を対象にしたものと「一般の医療機関・薬局など」を対象にしたものに分かれています。

今後、新型コロナの感染拡大と収束が反復する中で、必要な医療の提供を継続するため、院内感染防止対策を講じながら、一定の診療体制を確保することに必要な費用を補助するための支援金になります。前者の支援金としては、99床以下は2000万円、100床以上は3000万円までを上限としています(100床ごとに1000万円追加)。また実際に新型コロナ患者の入院受入れた医療機関に対してはさらに1000万円加算される内容となっています。同様に後者についても、病院は200万円+5万円×病床数、無床診療所は100万円などといった上限額が設けられています。

■万全な検査体制、ワクチン・治療薬の開発支援

最後に、PCRなど検査体制のさらなる強化として、「地域外来・検査センターの設置、研修推進、PCR・抗原検査の実施」「PCR 検査機器の整備、相談センターの強化」、「検査試薬・検査キットの確保」、「抗体検査による感染の実態把握」などが項目として挙げられています。またワクチン・治療薬の開発資金の補助や生産体制の整備補助なども盛り込まれています。


このように、補正予算としては過去最大といわれる今回の第2次補正予算には、医療機関を支援する内容が多く盛り込まれています。この新型コロナウイルス感染症の影響もいつまで長引くか先が見えないところもありますので、対象となる支援策については積極的に情報収集し活用すべきといえるのではないでしょうか。


---------------------------------------
◆筆者プロフィール
---------------------------------------
森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。