2021.03.01

3月から本格稼働するオンライン資格確認の最新動向をチェック!

今年(2021年)3月下旬からオンライン資格確認等システムが本格稼働します。昨年11月末、当システム整備などを支援する基金での追加補助が実施されていますが、医療機関におけるカードリーダーシステムなどの整備状況は、順調に進んでいるとはいえません。今回はそのオンライン資格確認等システムの動向についてご紹介します。

オンライン資格確認とは?

わが国の公的医療保険制度(健康保険制度)は、病気やケガといった保険事故に備えて加入者が保険料を納め、事故に遭遇した際に、保険から給付が行われる仕組みです。そのため医療機関等の窓口では、「患者がどの医療保険に加入しているのか」「提示された保険者証は有効か」などを確認する必要があります。これを資格確認といいます。

従来、この資格確認については手入力や目視で行ってしましたが、オンライン資格確認を導入するとマイナンバーカードのICチップ、もしくは健康保険証の記号番号などによりオンライン上で医療保険の資格確認ができるようになります。

導入により医療機関などでは、「受付での保険証の入力の手間削減」「患者の待ち時間の削減」「資格過誤によるレセプト返戻の作業削減」「来院前に事前確認できる一括照会」などのメリットがあります。

また今回のオンライン資格確認は、マイナンバーカードの普及促進を目指した国の取組みということもあり、導入する医療機関などには補助金が準備されています(図表1)。当初はレセコン改修などの費用に関して、2分の1(診療所などは4分の3)を補助するといった内容でしたが、想定より普及が進まなかったためか、昨年11月末には上限額はあるものの令和3年3月末までにカードリーダーを申し込んだ医療機関などには実費を全額補助するといった内容に変更されました。


図表1:オンライン資格確認導入促進のための追加的な財政補助
出典:厚生労働省ホームページ「オンライン資格確認導入に関する資料」

令和3年3月末までに60%導入を目指す

このように追加的な財政補助が行われている中、実際の導入状況はどうなっているのでしょうか?

国としては、令和3年3月末までに、医療機関等の60%程度での導入を目標としています。図表2は、都道府県別の顔認証付きカードリーダーの申込率(=オンライン資格確認導入予定率)をまとめたものになります。

令和3年2月21日時点におけるカードリーダーの申込率を施設区分別にみると、病院は42.6%、医科診療所は24.6%、薬局は50.5%となっており、歯科を含めた全体では32.8%となっています。補助金の期限が令和3年3月末までですので、駆け込みでの申込みがあると想定されますが、それを踏まえてもオンライン資格確認システムの導入に関しては慎重にみている医療機関などが多いといえます。

しかし都道府県別でみるとそれぞれ対応状況の違いに差があります。たとえば岩手県の病院においては、申込率が60%を超えており、このようなエリアでは過半数以上の病院が導入予定といえますので、自院においても検討すべきといえます。


図表2:顔認証付きカードリーダーの申込状況(令和3年2月21日時点)
(1)施設区分別
※厚生労働省ホームページでは、2021年1月17日の申込状況も掲載されているが、2021年1月24日のものと同じデータと思われるため除いた。

(2)都道府県別
出典:厚生労働省ホームページ「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」をもとに筆者が作成

オンライン資格確認・マイナンバーカード、どちらの普及が先か

オンライン資格確認導入が思うように進んでいない要因としては、「国による周知が不十分である」「医療機関等が様子見をしている」「システムベンダー等の見積もりが不明瞭」「新型コロナウイルス感染症の影響」などいろいろとあるかと思います。またオンライン資格確認はマイナンバーカードの普及促進策ではありますが、医療機関側としてはマイナンバーカードの普及が進まない中で、オンライン資格確認を導入してもメリットが少ないとの意見も多く聞かれます。

国が当初設定したオンライン資格確認のスケジュールとしては、令和4年3月末で約90%、令和5年3月末で概ね全ての医療機関等での導入を目指しています。もしかしたら次回の診療報酬改定でその普及策が盛り込まれることがあるかもしれません。いずれにしても、オンライン資格確認の普及が先か、それともマイナンバーカードの普及が先か、今後の動向に注目していきたいところです。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社 認定医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。