2019.08.10

医療機関によくあるセクショナリズムの弊害

当社は経営改善のため、医療機関の経営幹部と
毎月面談をさせてもらっています。


そこで最近、よくテーマになることが
組織に関する相談です。


医療は人材がいないと成立しない事業です。


各職種が協働することで、質の高い
医療サービスを提供し続けることができます。


逆に、組織としてうまく機能していないと
患者サービスの低下にもつながりますし、
さらに職員の満足度も下がり、
離職者が絶えないという事態が起き得ます。


少子高齢化や増税対応、医療費の抑制など
厳しい環境が続く中で、医業経営を継続的に
行っていくためには、組織づくりが大きな
1つのテーマになっていきます。


今日は、その組織づくりにおける問題点の
1つを掘り下げてみたいと思います。


■セクショナリズムの弊害


セクショナリズムとは、
自部門の事情のみを考慮しその利益や権限を
守るために行動することで、円滑な業務遂行に
必要な情報共有や協働を他部門に対して閉ざす
ことをいいます。


これは病院に限らず、一般企業でもよくある
ことだと思います。


病院組織でよくあるのは、

医師、看護部、リハビリ科、事務部など、
各部門がお互いに協力し合うことなく、
自部門の事情ばかりを優先し過ぎてしまう
ケースが往々にしてあります。


そうすると、たとえば、
入院を増やそうと方針を掲げても
自部門を守るために「出来ない理由」
ばかりを挙げるばかりで建設的な議論に
至りません。


これは、セクショナリズムの弊害と
考えます。


自部門の運営を機能させることは
大切ですが、そればかりに固執すると
組織全体として機能しなくなり
結果、医業経営も立ち行かなくなる
ケースが往々にしてあります。


組織としてうまく機能していない
医療機関ほど、こういった問題を
抱えている施設が多いのではないでしょうか。


■部分最適よりも全体最適を


一部門だけがよくなっても
組織全体としてはうまく機能しません。


「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、
部分最適をしても表面的な解決であり、
根本的な問題の解決に繋がらないケースが多いです。


そして、組織全体として期待する成果が
得づらいといったことが往々にしてあります。


それよりも、大切な思考としては、
部分最適よりも『全体最適』思考です。


全体最適とは、
全体として、最も価値が高くなる方法を
選択する考え方になります。


「木を見て森も見る」という感覚で、
特に部門の管理職には持っていただきたい
考え方になります。


この全体最適思考をもつ職員が増えれば
増えるほど、問題解決の速度もグッとあがり
組織全体としての底上げにも繋がります。


全体最適思考を鍛えるためには、
「視座」を意識することが大切です。


視座とは、「物事をどの位置から捉えるか」
ということです。


視座を意識するためには次のような質問が
効果的です。


ある課題が挙げられたときに、

一般職員であるならば、

主任ならどう捉えるだろうか?
部長ならどう捉えるだろうか?
経営者ならどう捉えるだろうか?

そんな自問自答をすることで
物事を見る上での位置、視座が変わっていきます。


ぜひ試していただければと思います。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。