加速する医療DX:AI・ICT活用で中小病院が克服する「2026年働き方改革」と「人手不足」 ~『令和8年診療報酬改定を踏まえたケアミックス病院の経営戦略のポイント』(5回シリーズ第3回)
日本の医療現場は、医師の「働き方改革」(時間外労働の上限規制)への本格的な対応と、それに伴う「人手不足」深刻化という、二つの巨大な課題に直面しています。
病床数100床から200床の病院では、医師・看護師の確保コストが経営を圧迫し、厚生労働省「病院経営実態調査報告」によると、医業収益に対する人件費の割合が依然として高止まりしています。
この構造的な問題を解決し、持続可能な医療提供体制を構築するための鍵が、医療DXの積極的な推進です。厚生労働省は、令和8年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)において、ICT、AI、IoT等の利活用推進や診療報酬上の基準の柔軟化による医療従事者の業務効率化・負担軽減を具体的方向性として示しており、これはDX推進が今後の改定で明確に評価されることを示唆しています。
中小病院がDXを推進する上で特に注力すべきは、「1.情報の標準化と連携」、「2.非効率な事務・看護業務の自動化」です。
1.情報の標準化と連携
電子カルテや部門システム間のデータ連携を強化し、厚生労働省が推進する「標準型電子カルテ」の導入を視野に入れることで、将来的な地域医療連携や大規模災害時の情報共有基盤を確立できます。これは、業務効率化の基盤となるだけでなく、診療報酬上の連携評価にも影響を及ぼす可能性があります。
2.業務の自動化
AIを活用した画像診断支援や、RPAを活用したレセプト点検、予約受付、文書作成などの定型業務の自動化は、少ない人員で業務を回すための必須戦略となります。全国自治体病院協議会が公表している「令和8年度社会保険診療報酬に関する改正・新設要望書」によると、IT人材(システムエンジニア、医療情報技師等)の配置は必須であり、これに対し「情報システム管理加算」の新設が要望されています。
独立行政法人福祉医療機構の調査・分析によると、ICT投資額やDX推進度が高い病院ほど、医療従事者一人あたりの時間外労働時間が短縮される傾向にあることが示されており、DXが働き方改革に直結していることが分かります。
DXは、単なるコスト削減策ではなく、「持続可能な医療提供体制の構築」と「地域連携の強化」という二大目標を達成するための経営戦略です。積極的なDX投資により、医療従事者の負担を軽減し、確保した人材を患者ケアに集中させることで、サービスの質を向上させることが可能です。
弊社は、 病院情報システムの導入・運用におけるIT人材の最適配置計画の策定や、院内業務のボトルネック分析に基づいた業務効率化戦略の立案など、DX投資の費用対効果を最大化するためのロードマップ作成を支援致します。
貴院の現状評価や戦略構築について専門的支援が必要な場合には、医療経営に精通したコンサルタントを活用することで、より早く確実に実行フェーズへ移行することができます。経営の方向性を整理したい、数値分析を客観的に行いたい、現場と議論しながら実行計画を具現化したいというニーズなどがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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