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令和8年度診療報酬改定を踏まえたケアミックス病院の経営戦略 ― 中規模病院が取り組むべき5つの方向性 コラム『令和8年診療報酬改定を踏まえたケアミックス病院の経営戦略のポイント』(5回シリーズ第5回)

2025年12月に社会保障審議会医療部会で取りまとめられた「令和8年度診療報酬改定の基本方針」では、物価・賃金上昇への対応、医療従事者の持続可能な働き方の確保、医療の質と安全性の向上、地域連携の強化、医療DXの推進、社会保障制度の持続可能性の確保が中心課題として示されています。(出所:社会保障審議会医療部会)

中規模のケアミックス病院にとって、次回の改定は経営基盤を再設計する重要な契機となります。以下に、病院経営にとって重要な5つの戦略ポイントを解説します。

① 人材確保と処遇改善の構造化
診療報酬制度は医療従事者の処遇改善を制度的に後押しする方向へとシフトしています。政府は物価・賃金の上昇を踏まえて診療報酬の引き上げを進めており、初診料・再診料・入院基本料などのベースアップが議論されています。これにより、看護師やリハビリ職等のベースアップが現実的な選択肢になる可能性が高まっています。
一方、制度対応は「点数アップ」だけでは十分とは言えません。人材採用・育成・定着に向けて、シフト管理や資格取得支援、キャリアパス策定などを体系的に設計することが不可欠です。労務コストの増加を単純に価格転嫁できない医療機関においては、診療報酬で評価される要件を確実に満たす運用設計が経営安定にとって不可欠です。


② 地域医療連携と在宅医療への対応
改定方針では、医療機能の分化・連携が明確に打ち出されています。急性期病床から慢性期・在宅医療へと患者をシームレスに移行させる「地域包括ケアシステム」の構築は、ケアミックス病院がその中核を担うべき役割です。
医療現場では、退院支援が不十分で長期入院となるケースが依然として多く、病床回転率が低下しているという問題があります。在宅移行支援の多職種連携、訪問看護・介護事業者との協定締結、退院後フォロー体制の強化などを進め、入院医療の効率化と地域ニーズへの対応を両立することが求められます。


③ 診療報酬加算の戦略的取得と質評価の導入
R8年度改定では、量の評価から質やアウトカムを評価する診療報酬体系への転換が進む見込みです。再入院率、手術合併症率、褥瘡発生率などのアウトカム指標を院内で標準的にモニタリングし、評価に結びつける体制整備が重要です。
加算項目は要件が複雑になりがちですが、適切な運用により取りこぼしを防ぐことができます。特にケアミックス病院では複数の診療科があり、加算算定要件の棚卸しと内部監査プロセスの整備が収益最大化に直結します。


④ 医療DX推進と安全なデータ利活用
診療報酬改定と並行して医療デジタル化の評価も議論されています。「医療DX推進体制整備加算」等の改定ポイントが注目されており、電子カルテや情報共有プラットフォームの活用体制などが制度評価の対象になる可能性が指摘されています。
データ利活用を進める際には、セキュリティ対策、アクセス制御、仮名加工、出力検証プロセスなどの安全管理体制を明文化し運用することも不可欠です。これにより、医療DXによる業務効率化と診療の質向上を両立できます。


⑤ 医療資源・コスト管理と投資判断の高度化
病院経営において資本投下や設備投資の判断は常に難しい経営判断ですが、物価・人件費・材料費が上昇する昨今、費用対効果をあらためて検証することが不可欠です。
R8年度改定において医療機関の経営安定化が議論される一方で、実務では収益性分析、代替手段(リース・外部委託)との比較、材料・薬剤の需要予測などを組み合わせた投資判断が求められています。
財務モデルと感度分析の活用により、病院の資金繰りを悪化させない投資戦略を描くことが可能です。医療機器・設備更新や新規サービスの導入に際しては、経営計画との整合性を重視して対応することが重要です。


まとめ
令和8年度診療報酬改定は、人材確保と処遇改善、地域医療連携、質評価、医療DX、安全なデータ利活用などの複数の構造的なテーマを同時に扱うものです。
ケアミックス病院が持続可能な経営を実現するには、診療報酬制度の変化への対応を経営戦略として捉え直し、加算の最適取得、退院支援体制の強化、アウトカム評価の運用、DXと安全管理体制、費用対効果の高い投資判断を同時並行で進めることが求められます。

こうした戦略を実行するには、経営コンサルティングによる病床・人員配置の最適化、退院支援プロトコル構築、データ利活用ルール策定、財務モデル構築といった支援が効果的です。
貴院の現状評価や戦略構築について専門的支援が必要な場合には、医療経営に精通したコンサルタントを活用することで、より早く確実に実行フェーズへ移行することができます。

経営の方向性を整理したい、数値分析を客観的に行いたい、現場と議論しながら実行計画を具現化したいというニーズなどがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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