① 人材確保と処遇改善の構造化
診療報酬制度は医療従事者の処遇改善を制度的に後押しする方向へとシフトしています。政府は物価・賃金の上昇を踏まえて診療報酬の引き上げを進めており、初診料・再診料・入院基本料などのベースアップが議論されています。これにより、看護師やリハビリ職等のベースアップが現実的な選択肢になる可能性が高まっています。
一方、制度対応は「点数アップ」だけでは十分とは言えません。人材採用・育成・定着に向けて、シフト管理や資格取得支援、キャリアパス策定などを体系的に設計することが不可欠です。労務コストの増加を単純に価格転嫁できない医療機関においては、診療報酬で評価される要件を確実に満たす運用設計が経営安定にとって不可欠です。
② 地域医療連携と在宅医療への対応
改定方針では、医療機能の分化・連携が明確に打ち出されています。急性期病床から慢性期・在宅医療へと患者をシームレスに移行させる「地域包括ケアシステム」の構築は、ケアミックス病院がその中核を担うべき役割です。
医療現場では、退院支援が不十分で長期入院となるケースが依然として多く、病床回転率が低下しているという問題があります。在宅移行支援の多職種連携、訪問看護・介護事業者との協定締結、退院後フォロー体制の強化などを進め、入院医療の効率化と地域ニーズへの対応を両立することが求められます。
③ 診療報酬加算の戦略的取得と質評価の導入
R8年度改定では、量の評価から質やアウトカムを評価する診療報酬体系への転換が進む見込みです。再入院率、手術合併症率、褥瘡発生率などのアウトカム指標を院内で標準的にモニタリングし、評価に結びつける体制整備が重要です。
加算項目は要件が複雑になりがちですが、適切な運用により取りこぼしを防ぐことができます。特にケアミックス病院では複数の診療科があり、加算算定要件の棚卸しと内部監査プロセスの整備が収益最大化に直結します。