2019.09.02

持続的に成長する組織づくりのポイント

最近、一般企業だけでなく医療機関においても
組織開発や組織マネジメントという言葉が
よく聞かれるようになっています。


それだけ「組織づくり」を課題として
感じている医療機関が多いということ
なのかもしれません。


その背景には、少子高齢化による
働き手人口の減少による採用難や、
価値観の多様化などによる定着難などの影響
があると考えられます。


特に病院においては、
施設基準上の人員配置により診療報酬が
変わってきますので、採用率や定着率などは
医業経営にとって重要な指標の1つといえます。


ただ組織づくりの難しい点としては、
望ましい組織のカタチは、ステージ、規模、
業種、経営者の方針などによって様々であり、
正解が1つでないということが挙げられます。


さらに解決手法も組織の状況により様々です。
ただし、どのような組織にするにしても、
押さえておかなければならないポイントが
ありますので、今回はその1つをご紹介していきます。


■組織の成功モデルを知る


「組織の成功循環モデル」をご存知でしょうか。
組織に成功をもたらす基本的な考え方として
おさえておくべきものと考えます。


マサチューセッツ工科大学の
ダニエル・キム教授が提唱していたもので、
組織が成果を上げ続け、成功に向かう過程や
しくみを明らかにしたものです。


組織の成功循環モデルでは、
組織の成功に影響する要素として、
「関係の質」
「思考の質」
「行動の質」
「結果の質」
の4つが循環しているとしています。


そして成功循環モデルには、
グッドサイクルとバッドサイクルがあります。


■どこにフォーカスするか


バッドサイクルは、結果だけを求め、
「結果の質」を向上させようとすること
から始めます。


しかしなかなか成果が上がらず
「結果の質」が低下すると、対立や押し付け、
命令などが増え、「関係の質」が低下します。


仮に一時的に成果が上がったとしても、
それはメンバーが追い詰められた状態で
出した成果にすぎないので、長続きしません。


「関係の質」が悪化すると、
メンバーは考えることをやめ、
受け身の状態になり、仕事にやりがいを
感じなくなり、「思考の質」が低下します。


当然自発的・積極的に行動しなくなり、
「行動の質」が低下し、成果に繋がりません。


つまり「結果の質」がさらに低下するといった
悪い循環に陥るのです。


停滞していたり、成果の上がらない組織は、
このようなバッドサイクルに陥っていることが
往々にしてあります。


一方で、グッドサイクルは、
「関係の質」を高めるところから始まります。


「関係の質」を高めるとは、お互いを尊重し、
一緒に考えることです。ここから始めると、
メンバーは自分で気づき、面白いと感じる
ようになり、「思考の質」が向上します。


すると、自分で考え、自発的に行動する
ようになり、「行動の質」が向上します。


その結果として「結果の質」が向上します。


成果が上がったことにより信頼関係が高まり、
「関係の質」がさらに向上します。


これがグッドサイクルです。


遠回りをしていると感じるかもしれませんが、
何よりもまずメンバーとの関係の質を高める
ことが、成果を持続的に出していくための
近道であるという考え方です。


■まずは関係の質の改善から


組織がまず最初にどこにフォーカスするか
によって、その結果や成果が変わってきます。


その中で、関係の質にフォーカスすることは
解決策も多岐に渡りますし、時間もかかる
ことですので、選択するには少し勇気がいる
ことかもしれません。


しかし長期的に発展・成長していく組織を
つくるためには、関係の質から見直して
いくことは非常に重要な視点といえるでしょう。



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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。