2019.11.02

医師の働き方改革を進めるための タスク・シフティング検討開始!

少子高齢化による生産年齢人口の減少による
労働力不足、若い世代の職業意識の変化、
医療ニーズの多様化、さらに医師等の偏在などを
背景として医療機関における医療従事者の確保が
困難となっています。


その中で、質の高い医療提供体制を持続的に
構築するためには、勤務環境の改善などといった
働き方改革が重要となってきています。


その中でも特にハードルが高いとされるのが
医師の働き方改革です。


2019年10月23日に「医師の働き方改革を進める
ためのタスク・シフト/シェアの推進に関する
検討会」が開催されました。


今回はその検討内容について一部ご紹介します。


■タスク・シフトの推進が急務


医師に対しては、2024年4月から時間外労働の
上限規制が適用されことになりました。


その規制の具体的内容等について検討してきた
「医師の働き方改革に関する検討会」において、
医師の診療業務の特殊性を踏まえた働き方改革
を推進していくことが報告書として
とりまとめられました。


その中でその医師の「労働時間の短縮」のため
に徹底して取り組んでいく必要があるとされた
項目の1つに、医療従事者の合意形成のもとでの
業務の移管や共同化(タスク・シフティング、
タスク・シェアリング)が掲げられており、
これらの取組みの推進が急務になっています。


■6分野・286の業務・行為がタスク・シフト可能か


そこで2019年10月23日に、「医師の働き方改革を
進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に
関する検討会」(以下、検討会)の第1回目が
開催されました。


検討会では、各団体からヒアリングした
「医師から他職種にタスク・シフトできる
可能性がある」6分野・286業務・行為について
議論されました。


<タスク・シフティングの可能性のある6分野>
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558387.pdf

これらについて

①実施可能な業務
②明確に示されていない業務
③実施できない業務のうち、
 十分実施可能で法改正等を行えば実施可能となる業務

に分けてタスク・シフトの可能性や課題を探っていく
方向を確認しました。


今後は、医師以外の他職種による実施が進まない要因や
その解決策、法令の解釈などの明確化、
また必要に応じて法改正の必要性や改正内容などを
議論していくことになりそうです。


■期待されるナース・プラクテイショナー制度


そんな中、ナース・プラクテイショナー制度の創設を
検討すべきとの声もあがっています。


ナース・プラクテイショナー(NP)とは、
「医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療
などを行うことができる」制度です。


米国等における制度であり、
現在の日本には「NP」に相当する資格はありません。


現在の制度では、すべての医療提供の判断・指示を
医師が担っています。


しかし今後の医師の偏在や医療ニーズの増加の中で、
医師がすべてに対応する仕組みのままでは、
医師の業務量はさらに増加し、タイムリーな対応も
困難となることでしょう。


NP制度の創設によって、
患者へのタイムリーな対応による医療・看護の質
の向上や、看護師の指示待ち等の業務の効率化、
さらには医師の業務負担の軽減にも繋がることが
期待されますが、現状ではまだ将来の検討課題の
1つとしてとどまっている状況です。


医師の働き方改革を推進するためには
このタスク・シフトは欠かせません。


今後の検討会での議論に注視しながら
医療現場でも少しずつ進めていく必要があると
いえるでしょう。




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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。