2019.03.19

医業経営者がもつべき全体最適化の視点

2019年3月12日に、
福祉医療機構(WAM)が公表した病院経営状況の
調査結果をみると、7対1病院よりも基準1つ低い
10対1病院の方が経営状況が良好なことがうかがえます。

この傾向はおそらく今後も継続すると考えられます。

それは、平成30年度の診療報酬改定の内容を
よくみると想定することができます。

今回の改定で、入院料が抜本的に見直され、
一般病棟入院基本料については、
看護配置などを評価する「基本部分」と、
重症患者の受入れ状況を評価する「実績評価部分」とを
組み合わせた7種類の入院基本料に組み替えられました。

もっとも上位の基準である入院料1が1591点に対し、
入院料2は1561点と、その差は30点しかありません。

さらに入院料2では看護配置は10対1とされていますので
単純な利益率だけで考えると、入院料2の方が高くなる
傾向にあると考えられます。

これに似たようなことが
回復期リハビリテーション病棟入院料でもいえます。

回復期の入院料1と入院料2の点数差は、
60点しかありません。

しかし入院料1を算定するためには
リハビリ実績指数FIMを37以上にする
必要があります。

在院日数が短くなると、実績指数が
高くなりやすいことから、

入院料1の算定を意識するあまりに
在院日数が短縮される傾向が
病院ではよく見受けられます。

すると、せっかく最上位の基準である
入院料1を算定したにもかかわらず
入院料2を算定していたときよりも
収入が下がってしまうというケースもあるわけです。

もちろん、医療の質や職員のモチベーション
という面で、最上位の施設基準を算定する
ことは、とても要素の1つです。

ただ一方で、経営的な視点でみると
最上位の基準をあえて算定しない方が
良好な経営を維持できる側面もあります。

優先順位をどこに置いて
医業経営の全体最適化を図っていくのか
経営者の判断が問われているといえます。


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◆筆者プロフィール
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森田 仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。