2021.06.29

第8次医療計画策定に向けた議論がスタート

厚生労働省は6月18日、「第8次医療計画等に関する検討会」の初会合が開催されました。5月28日に公布された改正医療法を踏まえ、2024年4月開始となる第8次医療計画の作成指針等について検討するための会となります。今回は、第8次医療計画策定に向けたスケジュールや検討体制などについて議論されました。本稿では、その内容の一部についてご紹介します。

■そもそも医療計画とは
医療計画は、医療資源の地域的偏在の是正と医療施設の連携を推進するため、昭和 60 年の医療法改正により導入されました。その定義としては、「国の定める基本方針に即し、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るために策定するもの」とされています。内容としては、主に各地域における以下の5項目が記載された計画書になります。その名のとおり計画書になりますので、その計画に沿って各都道府県と医療機関が協働し、目標を達成していくことが求められています。

①医療圏の設定、基準病床数の算定
②地域医療構想
③5疾病・5事業および在宅医療に関する項目
※ただし、令和6年度からは「新興感染症等の感染拡大時における医療を追加し、6事業。
④医師の確保に関する事項
⑤外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項


医療計画は医療法により策定することが定められています。当初は5年ごとに改定されていましたが、高齢化がさらに進む中で、3年を1期とする介護保険事業(支援)計画と医療計画との連携・整合が重要となることから、現行の第7次医療計画からは1期が6年に改められることになりました(3年ごとに中間見直しも実施)。そして、第8次医療計画は2024年度から2029年度までを対象とする計画となります。

医療計画の策定は、各都道府県が自由に策定するわけではなく、厚生労働省から示される「基本方針」に沿って作られます。この基本方針が、各都道府県が計画を作成するためのひとつの拠り所になります。今回の第8次医療計画であれば、つぎのような流れで進められる予定です(図表)。

2022年度中に厚生労働省が基本方針を策定し、公表

2023年度中に各都道府県で計画を作成

2024年度から新たな「第8次医療計画」がスタート



図表 第8次医療計画に向けた取組(全体イメージ)【案】
出典:第1回第8次医療計画等に関する検討会 資料


■3つのワーキンググループを設置
第8次医療計画では、新型コロナウイルス感染拡大を受けて「新興感染症等への対応」を新たな事業として盛り込むことになっています。その他にも、外来機能報告等など新たな事項が新設されています。そこで今回の検討会では、第8次医療計画策定に向けた検討体制として次のようなイメージ案を示しました(図表)。

●特に集中的な検討が必要な項目があることから、検討会の下に「地域医療構想および医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」「外来機能報告等に関するWG」「在宅医療および医療・介護連携に関するWG」の3つのWGを立ち上げ議論する

●新興感染症等への対応に関して、感染症対策(予防計画)に関する検討の場と密に連携する観点から、双方の検討会・検討の場の構成員が合同で議論を行う機会を設ける


図表 第8次医療計画の策定に向けた検討体制(イメージ)【案】
出典:第1回第8次医療計画等に関する検討会 資料

■地域医療構想は医師確保計画とセットで
このうち、「地域医療構想および医師確保計画に関するWG」では、地域医療構想の実現に向けた検討と合わせて、「医師の適正配置の観点を含めた医療機能の分化・連携に関する推進方針」「医師確保計画ガイドライン」などを検討することが盛り込まれています。地域医療構想の実現には、病床機能の転換や病院の再編・統合といったハード的なものと合わせて、そこで働く医師人材の確保とを、セットで検討することが不可欠という考えによるものと思われます。

また2022年の外来機能報告等の施行を控える「外来医療計画」については、新設される「外来機能報告等に関するWG」で、概ね月1回程度の議論を重ね、第8次医療計画等に関する検討会や医療部会に報告しながら、2021年12月末を目途に「外来機能報告等に関する取りまとめ」を行うとしたスケジュールイメージが示されました(図表)。検討が必要な事項として、次の項目が挙げられています。

・医療資源を重点的に活用する外来(具体的な項目、呼称等)
・外来機能報告(報告項目、報告スケジュール等)
・地域における協議の場(参加者、協議スケジュール等)
・医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関(国の定める基準 、呼称等)
・紹介・逆紹介の 推進、診療科ごとの外来分析その他の外来機能報告等の施行に必要な事項


■おわりに
医療計画は各地域におけるこれから先6年間の医療提供体制の方向性を示したものであり、医療機関の今後の経営方針を検討するうえでは抑えておくべきものといえます。新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、少しペースダウンをした感がある地域医療構想に関しても、これを機に議論が加速するのではないかと想定されます。また2022年度から始まる「外来機能報告制度」についてもこれから詳細が詰められていきます。これまでの「医療提供体制の在り方」を見直すためにどのような議論がなされていくのか、今後の検討会の動向を注視していく必要があるといえます。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)

医療総研株式会社 認定医業経営コンサルタント
1982 年、埼玉県生まれ。法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社し、現場営業から開発・企画業務まで携わる。2015 年、医療総研株式会社に入社し、認定登録医業経営コンサルタントとして、医療機関の経営改善や人事制度構築などの組織運営改善業務に従事。著書に『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』(秀和システム)、『医業経営コンサルティングマニュアルⅠ:経営診断業務編①、Ⅱ:経営診断業務編②、Ⅲ:経営戦略支援業務編』(共著、日本医業経営コンサルタント協会)などがある。