2019.05.26

外来の機能分化を契機に、増患・集患対策を

外来医療の今後の方向性として、
大病院の外来は紹介患者を中心として
一般的な外来受診は「かかりつけ医」に
相談することを基本とするシステムの普及、
定着を国としては進めています。


平成30年度診療報酬改定においても
紹介状なしの大病院受診時の定額負担の
対象範囲の拡大ということで、

これまでの「特定病院及び一般病床500床以上
の地域医療支援病院」から「特定病院及び
許可病床400床以上の地域医療支援病院」と
対象病院の範囲が見直されました。


これは、「まず地域のかかりつけ医療機関を
受診し、そこから必要に応じて大病院の紹介を
受ける」という流れを作ることが目的です。


厚生労働省の「紹介状なし患者比率」調査
(2018年10月時点)によると、平成30年度改定に
より対象となった病院の「初診患者における
紹介状なし患者比率」は42.7%と、前年同月より
4.4%減少しています。


また紹介なしで外来した患者の割合も
大病院を中心に比較的減少傾向であることが
報告されています。


しかしながら、現状ではまだ不十分といった
声も多くあり、次回の改定においては
400床未満の病院にも紹介状なしの患者への
定額負担を義務付けよ、との意見も出ています。


ただ現実的には、200~300床の病院にとって
外来収入は、医業収入の1つの柱となっており
また、外来からの入院患者を獲得するためにも
ある一定の外来患者数を確保する必要がるとの
考え方もあります。


さらに患者にとっては、
病院で複数科の診療を受けられることは
大きなメリットであり、なかなか病院離れが
できないという実情もあります。


医師の働き改革など、様々な面から
外来医療の機能分化は重要な位置づけですが
なかなか進んでいないのが現状です。


■クリニックにとっては増患の機会


一方で、クリニックにおいては
増患の機会になり得ます。


外来患者を減らしたい病院と
増やしたいクリニックで、
双方の思惑が一致するわけですので
クリニックにとっては好機といえます。


その際に、大切になってくるのが
顔の見える連携です。


病院の医師も、そのクリニックが
どこまでの診療を任せられるのかが
把握できていないと、
なかなかクリニックに紹介することは
できません。


またこれまで診てきた患者を紹介する
わけですので、見ず知らずの医師よりも
既知の医師に紹介したいと思うのが当然です。


これまでは、クリニックから病院への連携
の提案などは、あまりされていなかった
のではないでしょうか。


今回の外来医療の機能分化を契機に、
クリニックから病院へのアプローチを
戦略的に強化することが、増患・集患対策の
1つになるといえるでしょう。


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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。