2019.06.23

7対1からのシフトは進んでおらず期待外れか!?

2020年度診療報酬改定に向けて、
入院医療分科会では、2018年度調査結果の速報が
報告されました。


今回はそのうち、一般病棟入院基本料と
地域包括ケア病棟入院料の内容について、
一部ご紹介したいと思います。


■一般病棟入院基本料


前回の改定で、一般病棟入院基本料については、
入院患者の医療の必要性に応じた適切な評価を
選択できるよう、実績に応じた評価体系を導入し、
将来の入院医療ニーズの変化にも弾力的に
対応可能とするため、これまでの7対1・10対1は、
急性期一般入院料の1~7の7つに再編されました。


この改定のねらいとして、
急性期一般入院料2や3を設けて、入院料1との
収益差を緩和することで、7対1から10対1への
移行をしやすくすることがありました。


その効果はどのくらいあったかというと、
今回の調査結果では、改定前に一般病棟(7対1)
を届出ていた病棟の96.5%が入院料1【7対1を維持】
しており、入院料2への移行は2.6%、入院料3への
移行は0.5%にとどまりました(2018年11月1日時点)。


入院料1を届けている理由としては、
「改定前の一般病棟(7対1)相当の看護職員配置が
必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」や
「施設基準を満たしており、特に転換する必要性を
認めないため」が多くなっています。


一方、旧7対1から入院料2や3へ移行した理由としては、
「重症度、医療・看護必要度の基準を満たすことが
困難なため」が最も多く、次いで「看護師の確保が
困難なため」が多い結果となりました。


「7対1から10対1への転換促進」という
当初のねらい通りにはいかなった状況がうかがえます。


ただすでに採用している看護職員を、
診療報酬改定直後に看護配置を大幅に変更することは
難しいとの意見もあり、この効果は長期的に見ていく
必要があるとも考えられます。


■地域包括ケア病棟入院料


入院基本料については、前回の改定で、
基本部分と実績評価部分との2段階構えになりました。


その中で地域包括ケア病棟入院料も同様に
入院料1~4の4つに再編されました。


地域包括ケア病棟については、
実績部分の要件からもわかるように、
ポストキュートだけでなく、サブアキュート
としての役割も期待されています。


今回の調査結果によると、
地域包括ケア病棟・病室の入棟元については、
自院の一般病床(地域一般入院基本料、
地域包括ケア病棟・病室、回復期リハビリ
テーション病棟を除く)が最も多く43.5%。


一方で、
介護施設等からの入棟については、
それぞれ5%未満となっており、
サブアキュートとしての機能がまだまだ
浸透していないことが伺えます。


「7対1から10対1への移行促進」や
「地域包括ケア病棟のサブアキュート機能」
については、2020年度の改定でも1つの
トピックスになると想定されます。


次回の診療報酬改定については、
夏までの第1ラウンドでは横断的に議論を行い、
秋以降の第2ラウンドで個別のテーマを
議論していくことが予定されています。


今後さらに議論が深まっていきますので、
診療報酬改定のバックグラウンドを
理解するためにも、今の段階から適宜、
情報収集していくことが大切といえるでしょう。



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◆筆者プロフィール
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森田仁計(もりた よしかず)
医療総研株式会社
認定医業経営コンサルタント
1982年、埼玉県生まれ。
法政大学工学部卒業後、株式会社三菱化学
ビーシーエル(現LSI メディエンス)に入社。
現場営業から開発・企画業務まで携わる。
2015年、医療総研株式会社に入社し、
認定登録医業経営コンサルタントとして、
医療機関の経営改善や組織変革、
人事制度構築などの運営改善業務に従事。